オリジナル小説「秘密の八重歯」第四章 – 1 2021.05.30 NOVEL 第四章 スカイライン2000GTに残された賭博師の影 ある日、センパイOに呼ばれたノエルとSは、Oを迎えに府中の東京競馬場近くの喫茶店「チェリー」へとクルマで出かけた。ノエルとSは、小金井市本町の団地駐車場に駐めてあるスカイライン2000GTをピックアップしてその店へと向かった。 喫茶店の前で... 詳しくはこちら
オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 17 2021.05.29 NOVEL ひとときの青春時代を過ごす ゴーゴー喫茶で飲み明かした6人(グループの4人に少女2人を加えたメンバー)は、まだ薄暗い早朝に店を出た。全員が酔っていたが、とくに少女の2人はまともに歩ける状態ではなかった。KとHとは店の前で分かれたが、ノエルとSは前を通ったタクシーを拾うと、少女の家まで送ることにした。 ... 詳しくはこちら
オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 16 2021.05.28 NOVEL 小さなヤマのあとの美酒に酔う 次の日曜日、ノエルと少年S、グループのKとHの4人は、立川のジャズ喫茶の前で落ち合うと、夕方の時間にスーパーIYへと向かった。発煙筒はHが持ってきたものと合わせて2本ある。前日の土曜、Kと2人で電車の運転台から盗んだものらしい。発煙筒に火を付けて店員を脅す役はH、レジの売り上げ金を奪うの... 詳しくはこちら
オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 15 2021.05.28 NOVEL 消えた謎の指示書と発煙筒 賭博師Oは、公園である男と会っていた。身なりのしっかりした中年男性で、黒の中折れ帽を被っている。Oとその男性は、公園の同じベンチに腰掛けながら話をしていた。共に、相手を見ることはせずに、前を向いたままのやりとりだ。 「今のところ、すべて思い通りに事は運んでます」 Oがそう... 詳しくはこちら
オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 14 2021.05.27 NOVEL 明かされた賭博師の意外な素性 3つの銀行の現金輸送車の追尾は、主に給料支給日である25日に行われた。当初、センパイOがターゲットにしていた府中の東京競馬場の現送車は、早い段階で候補から外された。 現送車を襲撃するには、輸送ルートが人目の多い道であること、ダービー当日は朝から見物客が行き交っており、犯... 詳しくはこちら
オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 13 2021.05.26 NOVEL 学生運動が盛んな時代に練られた計画 この年、1968年は日本だけでなく、世界的にも動乱が相次ぐ年だった。プラハの春、キング牧師暗殺、5月革命、そして日本では1月の佐世保エンタープライズ寄港阻止運動にはじまって、3月に起きた東大紛争でそのうねりはピークに達していた。 ベトナム戦争に反対する世界中の若者... 詳しくはこちら
オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 12 2021.05.24 NOVEL メンフィスでの3人の密談 翌日、ノエルは午後3時に「メンフィス」へと向かった。店内に入ると、少年Sがいつもの席に座って煙草をふかしていた。 店に入ってきたノエルを見て、Sは左手を上げて「よお!」と合図をした。ノエルは、オーナーにオーダーを告げて飲み物を受け取ると、Sの前の席に座った。 ... 詳しくはこちら
オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 11 2021.05.23 NOVEL 羊の皮を剥かれた、直列6気筒SOHC ノエルが喫茶店メンフィスに戻ってみると、ちょうどセンパイOが雑誌のボーイズライフを読んでいるところだった。それに気がついたノエルは、Oに向かってこう言った。 「すみません、それ、オレの雑誌なんですよ」 「おお、そうだったのか、わりいわりい」 ... 詳しくはこちら
オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 10 2021.05.22 NOVEL メンフィスで浮かんだ大きなヤマ 少年Sとノエルの愛読書となっていた雑誌「ボーイズライフ」に、大藪春彦のハードボイルド小説『血まみれの野獣』の連載がスタートしたのは、1968年1月のことだった。恋人との離別や両親の自殺、レース界追放といった不幸にあったオートバイの元レーサーが社会に復讐する物語である。 ... 詳しくはこちら
オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 9 2021.05.21 NOVEL 反政府・反米のうねりと、立川グループの台頭 ノエルが、アメリカンスクールの高学年に進級するころ、少年Sは立川の非行グループのリーダー格として地元の不良の間でもよく知られる存在となっていた。立川グループは三多摩地区で窃盗や暴行を繰り返す30名ほどの集団として名を轟かせており、特にオートバイやクルマの窃盗については、キー... 詳しくはこちら
オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 8 2021.05.20 NOVEL 八重歯がもたらした特殊な能力 ノエルの虫歯治療の件は、当然のことながらリチャードの耳にも入っていた。ただし、歯の詰め物に隕石が使われたことを彼は知らない。この件を話してしまうのは、CIAの守秘義務にも抵触するうえ、その在り処を執拗にGHQが追っていたことを思えば、誰にも話さないほうが身のためであることはキヨが一番良く... 詳しくはこちら
オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 7 2021.05.19 NOVEL 大切に保管されていた一欠片の隕石 キヨとノエルは、国分寺駅北口にあるY氏の歯科医院の前でタクシーを降りた。はじめてキヨがこの場所を訪れてから12年の年月が経つが、住宅が増えてはいるものの大きな変化はない。キヨとノエルは、歯科医院の門扉を開けて敷地内に入ると、玄関の呼び鈴を鳴らして院内へと入った。待合室には患者が2名座... 詳しくはこちら