オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 13 2021.05.26 NOVEL 学生運動が盛んな時代に練られた計画 この年、1968年は日本だけでなく、世界的にも動乱が相次ぐ年だった。プラハの春、キング牧師暗殺、5月革命、そして日本では1月の佐世保エンタープライズ寄港阻止運動にはじまって、3月に起きた東大紛争でそのうねりはピークに達していた。 ベトナム戦争に反対する世界中の若者... 詳しくはこちら
オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 12 2021.05.24 NOVEL メンフィスでの3人の密談 翌日、ノエルは午後3時に「メンフィス」へと向かった。店内に入ると、少年Sがいつもの席に座って煙草をふかしていた。 店に入ってきたノエルを見て、Sは左手を上げて「よお!」と合図をした。ノエルは、オーナーにオーダーを告げて飲み物を受け取ると、Sの前の席に座った。 ... 詳しくはこちら
オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 11 2021.05.23 NOVEL 羊の皮を剥かれた、直列6気筒SOHC ノエルが喫茶店メンフィスに戻ってみると、ちょうどセンパイOが雑誌のボーイズライフを読んでいるところだった。それに気がついたノエルは、Oに向かってこう言った。 「すみません、それ、オレの雑誌なんですよ」 「おお、そうだったのか、わりいわりい」 ... 詳しくはこちら
オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 10 2021.05.22 NOVEL メンフィスで浮かんだ大きなヤマ 少年Sとノエルの愛読書となっていた雑誌「ボーイズライフ」に、大藪春彦のハードボイルド小説『血まみれの野獣』の連載がスタートしたのは、1968年1月のことだった。恋人との離別や両親の自殺、レース界追放といった不幸にあったオートバイの元レーサーが社会に復讐する物語である。 ... 詳しくはこちら
オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 9 2021.05.21 NOVEL 反政府・反米のうねりと、立川グループの台頭 ノエルが、アメリカンスクールの高学年に進級するころ、少年Sは立川の非行グループのリーダー格として地元の不良の間でもよく知られる存在となっていた。立川グループは三多摩地区で窃盗や暴行を繰り返す30名ほどの集団として名を轟かせており、特にオートバイやクルマの窃盗については、キー... 詳しくはこちら
オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 8 2021.05.20 NOVEL 八重歯がもたらした特殊な能力 ノエルの虫歯治療の件は、当然のことながらリチャードの耳にも入っていた。ただし、歯の詰め物に隕石が使われたことを彼は知らない。この件を話してしまうのは、CIAの守秘義務にも抵触するうえ、その在り処を執拗にGHQが追っていたことを思えば、誰にも話さないほうが身のためであることはキヨが一番良く... 詳しくはこちら
オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 7 2021.05.19 NOVEL 大切に保管されていた一欠片の隕石 キヨとノエルは、国分寺駅北口にあるY氏の歯科医院の前でタクシーを降りた。はじめてキヨがこの場所を訪れてから12年の年月が経つが、住宅が増えてはいるものの大きな変化はない。キヨとノエルは、歯科医院の門扉を開けて敷地内に入ると、玄関の呼び鈴を鳴らして院内へと入った。待合室には患者が2名座... 詳しくはこちら
オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 6 2021.05.18 NOVEL はじめて経験した歯の痛み ある日、少年Sと一緒にヴィレッジの売店で買ったホットドックを囓っているとき、ノエルは左上顎の歯に違和感を感じた。ソーセージを噛んでいるとき、今までに感じたことのない、上顎全体に響くような痛みが伝わったのだ。そのことをSに話すと、彼はこう言った。 [caption id=... 詳しくはこちら
オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 5 2021.05.17 NOVEL 立川基地拡張計画の影で起こった日米間の摩擦 リチャード家が立川のアメリカンヴィレッジに住みはじめてから2年後の1957年7月、立川基地の滑走路拡張に向けて、特別調達庁東京調達局が周辺を強制測量をした際、基地拡張に反対するデモ隊の一部が、アメリカ軍基地の立ち入り禁止の境界柵を壊し、基地内に数メートル立ち入ったとして、デ... 詳しくはこちら
オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 4 2021.05.16 NOVEL ノエルの冒険 立川での新たな出会い キヨの実家では、姉夫婦の赤ん坊が10月に誕生した。山田家にとって念願の男の子である。義兄は結婚を機に務めていた会社を辞め、4月から実家の印刷会社の取締役に就任し、経営から家督までのノウハウを少しずつ伝授されていた。近い将来、父に代わって4代目の社長に就任するのは間違いない。姉夫婦に... 詳しくはこちら
オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 3 2021.05.15 NOVEL 立川基地にあったアメリカでの生活 キヨとリチャード、そしてノエルの3人は、立川基地(Camp Fincam)のアメリカンヴィレッジで揃って暮らすようになった。リチャードは、立川基地の滑走路を拡張して大型のジェット機が離発着できる軍事ターミナルの建設責任者として、その仕事に精を出していた。 [ca... 詳しくはこちら
オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 2 2021.05.15 NOVEL 山田家の跡取りをめぐるもう一つの芽 リチャードは、ノエルと久しぶりに会うことが出来て喜んだが、その日の帰り道に、ゆくゆくは息子を立川のアメリカンヴィレッジへと連れ帰りたいとキヨに話した。 キヨは、山田家がノエルを養子にしたことはリチャードには隠していた。もしそれを彼が知ったら、きっと怒り狂って養育権... 詳しくはこちら