1960年のポップアイコン Campbell & Coke
モダンアートとしてのアメリカンポピュリズム
アンディ・ウォーホルは、1962年にコカ・コーラを題材にした「Five Coke Bottle」や、キャンベルスープをモチーフにした「Campbell’s Soup Cans」を発表し、ポップアートという新たな地平を拓いていく。コカ・コーラとキャンベルスープは、アメリカでは日常的に目にする飲食料品だが、この2つに共通するのは、パッケージデザインの秀逸さであり、それは大量生産・消費時代を象徴するアイコンとして、既に人々に浸透していたことだ。
ウォーホルが凄いのは、いち早くそこに気づいてそれをアートの題材に据えたことである。コーラの瓶やキャンベルの缶が並んでいる初期の作品は、一種のミニマリズムと捉えることも出来るが、その対象がアメリカ全土でもっとも親しまれている飲食料品であり、広告的なレトリックを逆手にとったデザインだったことから、ポップで明るい印象を持つ新しいアートとして注目されたのである。
それは一枚の写真からはじまった!
1960年当時、イラストレーターとしてすでに成功していたウォーホルは、アーティストへの転向を志していた。その頃、ひと足早くロイ・リキテンシュタインは、アメリカンコミックをモチーフとした点描画の手法で大きな注目を浴び、ファインアート作家として成功を収めていた。
ウォーホルは、アメリカンコミックとは別のポップアイコンとは何かをリサーチした結果、コカ・コーラとキャンベルスープという大量生産・消費社会のシンボルデザインに着目し、その2つを題材にしたファインアートの創作に取りかかったのである。
コカ・コーラとキャンベルスープの歴史は長く、パッケージデザインは幾多の変遷を経たが、1960年時点ではすでに完成の域に達しており、普遍性を持ち合わせていた。それに加えて、ウォーホルの版画によってポップアートという新たなマスイメージが加味されたことで、パーマネントデザインへと完全に昇華したのだった。この1962年以来、コカ・コーラとキャンベルスープのデザインはほとんど変わっていない。
今回の作品は、ウォーホルが1960年に自らのアイデアをスケッチ的に記録した写真を現代に甦らせたものだ。コーラもキャンベルも60年前のデザインとほとんど変わっていないのがわかる。この2つのポップアイコンの実物はエスキースを経て、ポップアートでもっとも有名な2つの版画作品へと進化していくのである。
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