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伝統芸能としてのザ・ビートルズ

ビートルズ再結成は、広告業界の極秘ミッションだった

わたしがまだ20代後半の広告マンだったころ、ビートルズのメンバーはジョン・レノンを除いた3人はまだ現役で、1989年にはリンゴ・スター、1990年にはポール・マッカートニー、そして1991年にはジョージ・ハリスンが立て続けに来日。元ビートルズの3人は積極的に音楽活動を続けているころだった。ちなみにわたしは、ポールとジョージの東京ドーム公演は生で観に行っている。 

 

 

それから数年後の1994年、ビートルズがアンソロジープロジェクトとして未発表曲をレコーディングしているという噂が水面下で流れており、広告プランナーとして独立していたわたしは、無謀にも「ビートルズ再結成日本公演プロジェクト」企画を各方面に働きかけていたのだった。

 

この話にもっとも食いついてきたのは某コンビニ大手チェーンだったが、「再結成日本公演」はやがて「ビートルズ新曲タイアップ」へと、新曲タイアップはやがて「ライセンスグッズキャンペーン」へとスケールダウンして、最後は企画そのものがボツになってしまったのだった(苦笑)。

 

ビートルズには、全員息子たちがいる!

現在、存命している元ビートルズのメンバーはポールとリンゴの2人のみ。ビートルズの楽曲にはコーラスが不可欠で、残念ながらこの2人では、あのハーモニーを再現することはできない。

そこで浮上してくるのが、彼等(元ビートルズ)の息子たちだ。幸い、彼等4人には同世代の息子たちが存在し、なんとその全員がミュージシャンでもあるのだ。ジョンにはジュリアン・レノンとショーン・レノン、ポールにはジェイムズ・マッカートニー、ジョージにはダーニ・ハリスン、リンゴにはザック・スターキーがいて、すでに立派な大人に成長している。

 

 

この中でミュージシャンとしてもっとも成功しているのは、ザック・スターキーだ。キース・ムーン亡き後の「ザ・フー」メンバーとして活動するほか、「オアシス」のサポートメンバーとしてもよく知られている。このザックにドラムを教えたのは、リンゴではなく当時仲の良かったキースだったという。リンゴには「ドラムは教わるものではない」という思いがあり、幼いザックにドラムを買い与えて教えたのは、“キースおじさん”だったのだ。

 

究極のビートルズ・リユニオンは伝統芸能的発想から

日本には、歌舞伎という伝統芸能がある。歌舞伎は世襲制であり、家元の役どころは息子が継ぐのが習わしとなっている。ビートルズの母国イギリスには世襲貴族という文化があり、ミュージシャンや役者でも親子二代で活躍する芸能人は結構いるのだ。

 

 

ビートルズのメンバーの中では、ポールの父がピアノ、管楽器を演奏する唯一のミュージシャンだったが、他3人のメンバーにはそうした話はない。したがって、ポールは伝統芸能に理解があるだろうことは想像できる。もちろん、まだ現役の彼のことだから、同じく元気なリンゴに、ジュリアン(もしくはショーン)、ダーニを加えたメンバーでリユニオンしようという話があれば積極的に動くに違いない。

 

目玉はビートルズの楽曲再現と新曲発表!

1980年代に登場したオフ・ブロードウェイのミュージカル「ビートルマニア」以降、容姿はもちろん、演奏や歌声までそっくりなビートルズ・トリビュートバンドは、ブロードウェイでロングランを続ける「THE RAIN」を筆頭に世界的広がりを見せるが、トリビュートはあくまでトリビュートでしかなく、本物を超えることはできない。

 

 

ジョージの1周忌に行われた「コンサート・フォー・ジョージ」では、親友のエリック・クラプトンが呼びかけるかたちで、ポール、リンゴ、そしてダーニが同じステージに上がり、世界に深い感銘を与えた(このときは残念ながらジュリアンとショーンは未参加だった)。

 

すでにビートルズは世界的な文化遺産である。ユネスコの無形文化遺産として認められれば、その伝統を守るための第一歩として「ビートルズ・リユニオン」への期待と意識は大きく高まるだろう。ぜひ、ポールとリンゴが元気なうちに、そしてビートルズの息子たちが立ち上がるかたちで、ビートルズ・リユニオンを実現してほしいものだ。

 

メンバーはポール・マッカートニー、リンゴ・スターの元ビートルズに加え、ジュリアン・レノン、ショーン・レノン、ダーニ・ハリスン、ザック・スターキーが入れ替わりで演奏すれば良い。また、このリユニオンプロジェクトに向けた新曲があれば更に盛りあがるのは間違いない。ビートルズの楽曲は、ライブでは見る事ができなかった中後期からピックアップしてもらえたら最高だ。

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