アカサカベースが選ぶ、秘蔵の名盤 第1話
和製シャンソンの名盤「初めまして 金子由香利」
このレコードとの出会いは、2019年6月17日に突然やってきた。わたしの行きつけのレコード店で数週間前から売れ残っていた「初めまして 金子由香利」という中古LPを買って帰ったのだ。しかもこのレコード、なんと100円で売られていたのだから、これを運命と言わずになんと言おうか。
1973年に発売されたトリオの12インチ
「初めまして 金子由香利」が発売されたのは1973年のこと。1973年といえば、洋楽ではピンク・フロイドの「狂気」、マイク・オールドフィードの「チューブラー・ベルズ」、ビートルズの「赤盤」に「青盤」、邦楽ではチェリッシュの「スーパー・デラックス」、よしだたくろうの「元気です。」などが発売された12インチLPの当たり年と言われた年である。
歌唱、語り、伴奏のすべてが一級品!
レコードの内ジャケットに書かれた解説によると、この1973年時点で金子由香利は12インチレコードを出したことがなかったとあるので、実質的なデビューアルバムのようだ。ただし、この時点で20年近いキャリアと書かれているため、シャンソン界ではすでにベテランだったようである。声楽家・オペラ歌手として有名な佐藤美子の門下生とある。
もう、二度と訪れるつもりはなかった
この浜辺には 思い出がいっぱいだから
あなたとの幸せが埋められている
海に近い あの小さなホテル
そこでわたしたちは 沈みゆく太陽と
明日という日を 約束した・・・
静謐なストリングスとアルペジオの伴奏をバックに、この語りからはじまる「愛の砂漠」の、何というドラマティックなことか。ながらく、ライブ演奏をともにしてきたであろう、バック陣の演奏とストリングスが完璧に溶け込んでいる。これを奇跡的な演奏と言わずになんというべきか、言葉が見つからない。
日本語の語りと歌、フランス語と交互に行き交う浮遊感、そしてなんとも優雅な演奏と研ぎ澄まされたアレンジ、そのどれもが一級品だ。もちろん、録音もすばらしく、今後わたしのオーディオチェック用音源になることは間違いないだろう。日本の戦後カルチャーの底知れない力に、ただただ敬服するばかりである。
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