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東京 神田 錦町の喫茶店「Coffe ITO」

東京 神田 錦町にある、おいしいコーヒーの店

ここは、東京神田の錦町にある喫茶店「Coffee ITO」である。今から30年ほど昔の1987~1992年頃、わたしは神田錦町にあった広告代理店との打ち合わせで頻繁にこの界隈を訪れていた。そのころ、打ち合わせ相手のK氏に教えてもらい、何度か訪れていたのがこの喫茶店だ。

 

 

 

ジャズ喫茶の老舗「イトウコーヒー」の姉妹店

この「Coffee ITO」は、上野池之端にあったジャズ喫茶「イトウコーヒー」の姉妹店で、今でもBGMとしてジャズが流れている瀟洒な喫茶店である。先日、「イトウコーヒー」の思い出についてブログで書いたこともあり、あのホットコーヒーがどうしても飲みたくなり、買い物の帰りに立ち寄ってみた。

 

 

午後2時半くらいに店内に入るとお店は空いていたので、店内を撮影させてもらった。窓際にはサンスイのSP-LE8Tが置かれ、静かにジャズが流れている。わたしは躊躇することなく、ホットコーヒーを注文した。砂糖とミルクをたっぷりと入れて味わうコーヒー、まさに至福の時間である。

 

 

 

池之端の「イトウコーヒー」について店主に話を聞く

おいしいコーヒーを半分ほど飲み終えてから、ジャズ喫茶「イトウコーヒー」の二代目店主とは従兄弟の関係にあたるマスターに、池之端の「イトウコーヒー」について訊ねると、とても気さくに話してくれた。池之端「イトウコーヒー」は、戦前から営業していた喫茶店を戦後間もない1946年に上野に移転。この移転の裏には、上野の老舗レコード店「蓄晃堂」が関わっていたそうで、当初はジャズ喫茶ではなく、当時まだ珍しかったレコードが聴ける喫茶店だったそうだ。

 

 

もとは流行に敏感な若者たちで賑わう洋楽喫茶だった

1946年といえば、モダンジャズが流行する前夜の時期であり、当時の主流はダンスホールで踊るスイングが隆盛をきわめていた頃である。いち早くレコードが聴ける喫茶店を開店した先代の先見性には、ただ驚くばかりである。上野の映画館で「映画のあとは、イトウコーヒーでくつろぎの時間をお過ごしください」という趣旨の劇場CMまで流れていたという話を聞いたことがあるが、この戦後復興期の「イトウコーヒー」は、流行の先端を行くモボ・モガが訪れるサロンのような場所だったようだ。

 

先代のマスターは垢抜けた方だったらしく、上野松坂屋の催事場でたまにレコードコンサートを開いたりもしていたそうだ。ちなみにレコードは「蓄晃堂」より、もっぱら新宿のマルミで買いそろえていたという話も時代を感じさせる逸話だ。

 

 

 

モダンジャズブームに乗って、硬派なジャズ喫茶に転身

「イトウコーヒー」がジャズ喫茶に転身したのは、先代がお亡くなりになって二代目のマスターが店を継いでからのことだったそうだ。池之端の中通商店街には、戦後の復興期に入って飲み屋が次々と開店し、店内で酔客が大騒ぎすることに業を煮やしたマスターのジュンさんが、当時ブームを巻き起こしていたモダンジャズの流れに乗って、いち早く「談話お断り」のジャズ喫茶にリニューアルしたのがはじまりだそうだ。このとき、彼はまだ二十歳そこそこの学生さんだったという。

 

 

ジュンさんは、本当はジャズよりもクラシックが好きだったらしく、自らバイオリンを演奏していたという貴重な話も聞くことができた。自慢のオーディオセットは、2ウェイのホーン型で、
ドライバー+ホーン:JBL 2420+2391、ウーファー:JBL 2220B、ネットワーク:ALTEC N-800、エンクロージャー:JBL 4560という組み合わせだったが、チューニングはジャズではなく、聴き慣れたバイオリンのレコードで行っていたという。イトウのオーディオセットには、舞台音響のヒビノが関わっていたという秘話も教えていただいた。二代目のジュンさんと日比野氏は、義理の兄弟にあたる関係だったそうだ。

 

ジャズ喫茶「イトウコーヒー」には、ジャズ評論家時代の大橋巨泉氏をはじめ、芸能人、落語家、地元旦那衆、学生などが集まり、全員無言のまま熱心にジャズ問答を繰り広げていたという。こうした硬派なジャズ喫茶は、やがて新宿、渋谷、吉祥寺などの店舗へと受け継がれ、日本独自の“ジャズ喫茶文化”を築いて全国へと広がっていく。硬派系ジャズ喫茶の発祥においても、「イトウコーヒー」は先陣を切っていたのである。

 

池之端「イトウコーヒー」があったと思われる場所(左側のビル)。

 

今から20年ほど前、ジャズ喫茶「イトウコーヒー」は惜しまれながらも静かに閉店。引退後は平穏に暮らしていたマスターのジュンさんだが、最近76歳の若さで永眠されたのだそうだ。ここに謹んでご冥福をお祈りしたいと思う。

ジュンさんとは会話こそできなかったものの、このお店にはずいぶんとお世話になった。自分にとってのジャズライフは、この「イトウコーヒー」から始まったのだから、感慨もひとしおである。そういえば、いちど財布を忘れたまま店に入ってしまい、会計するときに気づいて慌てたことがあった。事情を説明すると、とてもやさしく接してくれたのをよく覚えている。

 

神田錦町「Coffee ITO」のマッチ。1946年に開業した池之端「イトウコーヒー」の流れを汲むシンプルなデザインである。

 

貴重な話をうかがった後、「Coffee ITO」を出る際にマスターからマッチをいただいた。ちなみにこのマッチは、ジャズ喫茶になる前の「イトウコーヒー」の雰囲気を受け継いでデザインされているそうだ。「東京一の味と香り」「ブルーマウンテン珈琲」のコピーに、珈琲へのこだわりと誇りがうかがえる。都の条例により今年から店内禁煙となった今では、おそらくもう増刷されることもないだろう貴重な遺産である。池之端からわずか2年後に開店した老舗の「Coffee ITO」には、喫茶店らしい軽食メニューもそろっている。次に訪れた際には、ぜひ軽食も味わってみたい。

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