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アカサカベースの廃盤アワー 第8話

森山良子「イン・ロンドン」

アカサカベースの廃盤アワー。今回紹介するのは、1973年に日本フォノグラムから発売された「森山良子 イン・ロンドン」というアルバム。カバーデザインを見てもすぐ分かるように、森山良子がロンドンに渡って現地のプロデューサー、アレンジャーと組み、現地ミュージシャンを起用して録音されたアルバムだ。

 

   

 

単なるロンドン録音とは違うのは、全曲英語で歌われており、このアルバムのために書き下ろされた曲がほとんどで、その歌唱についてもプロデュースを手がけたエミール・D・ゾグビーに細かく指導され、日本における森山のイメージとはかけ離れた歌唱となっている点だ。甘い、ファルセットヴォイスを基調とした森山の牧歌的な歌声は極力封印され、素直な地声でオリビア・ニュートン・ジョン張りのシルキーヴォイスを聴くことができる。

 

 

グレープ・フルーツやヨーコ・オノ、ポール・ウィリアムスらが楽曲提供

このアルバムには、カーリー・サイモンとロバータ・フラックのカバー2曲を除き、特別に書き下ろされた楽曲が並ぶ。ジョン・レノンの秘蔵っ子であるグレープ・フルーツのメンバー3人をはじめ、ヨーコ・オノ、ポール・ウィルアムス、ロジャー・ニコルスといった錚々たる顔ぶれに、日本からは都倉俊一、川口真、飯吉肇らの作品が並んでいる。

 

 

ロンドンで成功した日本のミュージシャンといえば、古くはサディスティック・ミカ・バンド、カシオペア、最近ではリナ・サワヤマなどがいるが、森山良子のイン・ロンドンは、現地レコーディングによるプロダクションといい、編曲を担当したジョン・フィディーの巧みなストリングスといい、本気で世界を見据えた音作りがなされていて聴き応えも十分だ。

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