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シティポップブームがもたらしたアナログ格差とは⁉ その1

シティポップはなぜブームになったのか?

2005年にyoutubeが誕生して以来、海外のリスナーたちによって国内アーティストの発掘や再発見化が進み、それと同時に音楽産業の主流がCD購入からダウンロードへと変化したことによる反動から、アナログ盤の良さが見直されて、現在はレコードブームといっても良い盛り上がりを見せている。

 

もともと音楽という商品はレコード、CDと続いてきた“回転する円盤状のメディア”にパッケージされてきた歴史を持つ。最初に78回転のSPレコードが誕生し、当時は蓄音機で聴かれていたのだが、この時期のレコードにはジャケットが無くて、わら半紙のような素っ気ない袋にレコードが入っているだけの代物であった。

 

 

 

レコードジャケットが登場するのは、10インチのLP(33 1/3回転)が登場してからのことで、再生装置もゼンマイ式蓄音機から電気式蓄音機へと変化していった時代(1930〜40年代)である。その後LPは12インチへとサイズが大きくなり、シングルは7インチのドーナツ盤で45回転のフォーマットが定番となる。そしてステレオ装置が普及してから、レコードはモノラルからステレオへと変化していく。

 

現在のダウンロード形式は、ジャケットが存在しなかったSP盤時代に近いのかもしれないが、1940年代から現在まで連綿と続いてきたレコード(ジャケット)には、音楽(聴覚)とカバーアート(視覚)が融合した複合芸術としての楽しみ方があって、その鑑賞法はダウンロードやサブスクとは似て非なるものであると言わざるを得ない。

 

話がすこし横道にそれたが、一般リスナーが勝手にアップロードしていたYouTube動画が発端となり、1970年代から1980年代に制作された日本のシティポップ(当時はそのような呼び方はなくてニューミュージックと呼ばれていた)が、海外のDJやアーティストたちから高い評価を受け、それらがRemixされたりカバーされることで一般リスナーの間で反響を呼び、やがて世界的なブームを巻き起こすことになるとは……一体誰が予想しただろうか。

 

海外からの観光客が火をつけたインバウンド効果

この傾向は2015年頃から特に顕著となり、海外から来日した観光客が中古レコード店でシティポップのアナログ盤を買い漁る姿がテレビで放映されるなど、その異変の兆候がカンフル剤となって、かつての日本の音楽が逆輸入的に国内でも人気となっていくのである。また、2007年にアメリカから始まった「レコードストアデイ」は、欧米を始め日本でも広がりを持ちはじめ、年2回開かれているこのイベントでは、その開催を記念したアナログ盤がリイシューされて、昔のレコードが復活して人気となるなどの盛り上がりを見せている。

 

 

リイシューされたアーティストのレコードは付加価値を持ちはじめ、やがてはそのオリジナル盤の価値をも高めて競うようにそれらのレコードが売れていくという、一種異常な光景がショップでは繰り広げられるようになった。こうした循環が繰り返されていくうちに、一部のレコードやアーティストのアナログ盤価格だけが高騰するという、歪んだ現象が起こりはじめている。

 

現在、アナログレコードを生産できる企業は限られており、かつてのように売れればいくらでも増産を繰り返せるという産業構造ではないため、価格は安定せずに一部のレコードだけが高騰してしまうという歪みが生じているのだ。ただ、ひとつ言えることといえば、値段が上がっているアーティストのレコードは往々にして音楽的なクオリティが高い(リスナーからの支持が高い)ということ。

 

しかし…である。同じ時代に同じくらい売れていたアーティストのレコードなのに、なぜこうも値段に差が出るのだろうか。例をあげれば、アーティスト(A)の中古レコードは3,000円〜10,000以上の値がついているのに対し、(B)の場合は300円からせいぜい1,000円台、(C)にいたっては100円台…というように激しい差が生じているのが現状なのだ。

 

良いものは次世代へと受け継がれるという基本法則

その理由の一つに、いかにその音楽がジェネレーションを越えて受け継がれているか否かという基準がある。音楽が次世代へと引き継がれれば、新たな若いファンができてレコードは売れ続ける。引き継がれていく層が少なければ、レコードは売れ残って価格はどんどん下がっていく。レコードのように大量に売り場面積が必要な商品は、いかに不良在庫を減らせるかが中古店の腕の見せどころである。魅力的なレコードが多ければ、客は増えて売り上げも伸びる一方で、不人気のレコードばかり目立つようでは客足は稼げないのだ。

 

 

結果として、ほとんど新品同様のようなレコードが100円足らずでGETできるという、ラッキーに遭遇できるのも中古レコード屋巡りの醍醐味だ。ただし、100円なら何でも良いわけではなく、買って帰って愛聴できるようなものでなくては意味がない。レコードのコレクションは保管スペースとのせめぎ合いでもある。聴きもしないレコードが居住スペースの多くを占めていくのは論外だからだ。

 

音楽は流行の差こそあれ、あくまで嗜好品である。ある人にとっては宝物のようなレコードが、他の人にとってはゴミ同然ということも起こり得るのだ。また、ある時代に大ヒットしたレコードでも、いま聴くとどうにも古くさくて鑑賞に耐えられないということもある。飽きられてしまう音楽と、飽きられない音楽というのは確かに存在するものだ。飽きられないレコードは、コレクションとして残り続けるが、飽きられてしまったレコードは中古店へと流れていき、それが価格の差となって反映されるのである。

 

次回からは、中古レコード市場で高値を呼んでいるアーティスト、逆に安価で売られているアーティストらを独自に番付けしてその動向について触れていこうと思う。シティポップの文脈に入るアーティストでも、まだ再評価されずにいるダークホース的な作品なども追々紹介していくつもりだ。乞うご期待!

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