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ムーディーレコードの誘惑 第5話

ツイッギー「森の中の妖精」

わたしは、中古店でこのレコードと出会ったとき、TWIGGYと書かれたジャケットを見て思わず呟いた。ツイッギーって、あのツイッギー? レコードのタスキには「愛のテーマをファッショナブルに歌って“歌手ツイッギー”さわやかにデビュー!」とある。ジャケットの写真を見ると、あのツイッギーより幾分顔がふっくらしていて髪型もショートではなくロングヘアだ。

 

 

家に帰ってライナーノートを読んでみると、やはりあのツイッギー本人であることがわかった。調べてみると、このアルバムは1976年に発売されているようで、他にもサントラやオムニバスも含めて12枚ほどのレコードがあるらしい。では、肝心の中身はどうなのだろうか……?

 

音楽的にはフォークロックやカントリーを基調としたサウンドで、当時人気だったオリビア・ニュートン・ジョンに近い雰囲気をもったアルバムといえる。スインギンロンドン時代のショートカットにミニスカートというスタイルから、イメージの脱却を図っていたのが覗えるジャケット写真ではあるが、すこし影のあるその姿からは何やら謎めいたメタファーが隠されていそうだと思うのは考えすぎだろうか?

 

そんな想像とは裏腹に、ここで聴かれるツイッギーの歌声はとても澄んでいてさわやかですらある。彼女が来日した際、ファッションショーで出番を待つ間はスタッフが心配になるほどナーバスだったそうだが、ファッションモデルという華やかさの裏には、きっと本人にしかわからないような悩みもあったのだろう。そんな陰と陽の二面性がこのアルバムでは意図せずに顕在化したというのが正解なのかもしれない。

 

ちなみに、このアルバムには2通りのジャケットがあるようで、以下のYouTubeにアップされているヴァージョンはさらにシックで大人っぽく見える。個人的には、断然こちらのほうが好みだ。写真を見るかぎり同じ衣装なのだが、色温度がこれだけ違うというのは撮影した時間帯が異なるのだろうか。夕陽に染まったかのようなツイッギーの髪はブロンドというより赤毛である。

 

ミニスカートの女王として来日したのが1967年なので、このアルバム発売時点で9年の歳月が流れている。1949年生まれのツイッギーは、来日時は18歳の女の子だったが、9年という歳月は彼女を随分と大人にしたのだろう。そんなツイッギーの貴重な歌声を聴いてみたい方は、ぜひ以下の動画をクリックしてみてほしい。

 

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