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いま何故、アナログレコードなのか!?

昭和世代にとってのアナログレコード

わたしのように、生まれてから青春時代にかけてアナログレコードが主流だった世代にとっては、音楽といえば45回転のシングル、33 1/3回転のLP、またはカセットテープに録音されたものを聴くのが当たり前だった。しかしレコード業界では、1980年代前半からCDとの同時リリースが増えていき、’80年代中半にはCDプレーヤーの普及を後押しするようにCDの生産量が増え、’87〜’88年頃にはついにアナログレコードの生産が止まってCDのみのリリースとなっていく。

 

 

CDの時代が平成と共にやって来る

時代が昭和から平成へと移り変わった1989年頃からは、CD全盛の時代を迎える。

音楽ジャンルとしては、クラブDJからの需要が残っていたダンスミュージックと、アナログ愛好家の多かったジャズファンの間で少量生産が続いていたアナログだったが、クラシックファンなどはレコードを裏返す必要がなく、それまで2枚にまたがっていた交響曲が1枚のCDで聴けるということから、早くからCDへの移行が進んでいたように思う。

 

そもそもCD収録時間の基準となったのが、一般的に演奏時間が70分とされるベートーベンの第九で、それが1枚に収まる74分の収録ができるように設計されたというのが定説となっている。

 

 

デジタルコピーの普及でCD不況が起こる

CDの売り上げは、1997年〜1998年をピークに徐々に減少を続け、2000年代に入るとApple社のiTunesが登場したことで大きな変革期を迎える。販売スタイルが楽曲をダウンロードするデータ販売へと移行していくのだ。さらに2014年〜2015年以降は、スマートスピーカーなどを使った定額のサブスクリプションサービスが登場し、現在ではダウンロードさえしなくなる音楽ライフが広まっている。

 

 

35年ぶりにアナログの売り上げがCDを上回る

アメリカでは、2022年のアナログレコードの売り上げ枚数が1987年以来初めてCDを上回ったという報告が全米レコード協会(RIAA)の年次報告書で明らかになった。売り上げ枚数はアナログレコードが約4100万枚、CDが約3300万枚で、アナログは前年比17%増と大きく伸びたという。

そんななか、LIFE IS SHORT, BUY MORE RECORDS(人生は短い、もっとレコードを買おう)というスローガンがアメリカで流行っていて、日本でもレコード店などでたまに見かけるようになった。かつては、タワーレコードのキャッチコピー NO MUSIC, NO LIFE(音楽のない人生なんてありえない)が日本で流行したが、この言葉が生まれた1996年はCDの売り上げがピークに達していた時期だ。

 

わたしは、これをパロディ化した NEW MUSIC, NEW LIFE(新しい音楽は、新しい人生とともにある)というキャッチコピーを自身のスローガンとしてかつて使っていた。

 

アナログレコードには、昭和という時代の音楽が詰まっている

アメリカや日本をはじめ世界中でアナログレコードの復権が進んでいるが、今回着目したのは記録メディアの変遷と音楽産業との関わりについてである。平たく言うと、アナログレコードには1940年代後半〜1980年代後半までの約40年の間に活動していたアーティスト、ミュージシャンたちの音楽がたくさん詰まっているということだ。

 

 

これは、アナログレコードを中古で買うことは、この40年の間に生み出された音楽を聴くことに直結することを意味するつまり、はじめから中古店で音楽がセグメントされているということなのだ(CD時代から現在のアーティストたちによる限定生産レコードは除く)。そして、この40年間というのはイコール“昭和という時代の音を聴く”と言い換えることができる。

 

それより前の1930年代〜1940年代の主流は蓄音機で聴くSPレコードであり、アナログレコード以降の1988年〜2005年頃までの約17年間はCDが主流だった。SPにはSPの、LPにはLPの、CDにはCDの良さがあって、それは主に再生装置の変化にともなう録音方法やスタジオ機材の変化によるところが大きい。

 

 

それぞれの記録媒体の特徴を簡単に述べるなら、もっとも影響が大きかったのは録音時間の違いだろう。SP盤にはせいぜい4〜5分しか録音できない。このため、当時の楽曲は短いもので3分以内、長くても4分程度に収まるように作られていた。曲が長いクラシック音楽の場合、フェードイン・アウトで何枚にも盤がまたがるのが当たり前だった。

 

SP盤の良さをあげるなら、蓄音機で聴く音楽は奥行きのある音像になる点だ。これは、ラッパ型のスピーカーという構造によるところが大きい。ステレオが登場してからは、2ミックスの音源が定着したが、最近の新しいスピーカーにはモノラルのものも増えており、ふたたびラッパ式の蓄音機が見直される時期が来ているともいえる。

 

 

LPレコードの良さは、デジタルにはない温かみのある音とよく言われるが、大部分は錯覚によるところが大きいのではないだろうか。もちろん、トーンアームにカートリッジの組み合わせがバッチリ決まったプレーヤーで聴くアナログの音の良さは知っている。しかし、一方でスチューダーなどのハイエンドCDプレーヤーの良さも知っているので、一様にアナログのほうが優れているとは言えないと思うのだ。

SPからLPへの収録時間の変化は、音楽そのものに大きな変化をもたらした。5分以上の楽曲も作られるようになり、組曲のように切れ目のない大作を録音することもできるようになった。そして、その変化はCDへの移行によってさらに大きくなる。約40分程度だったLPから、74分収録可能なCDが登場することで、それまで10曲から12曲程度だったアルバムの曲数が3〜4曲ほど増えたり、ボーナストラックが追加されたりと付加価値がついたのだ。

 

しかし、人間の集中力というのは、15分単位で区切られると言われるように、ちょうど片面が20分以内で停止するレコードというのは非常に理にかなっているのだ。これは、人間の潜在意識に刷り込まれているので、それがアナログレコードが愛される理由の一つであるとわたしは思っている。

 

将来的には、ふたたびCDが見直される時代がやって来る

最後に、CD派の方々への朗報というわけではないが、わたしは将来的にCDが見直されて復活する日が必ずやって来ると思っている。何故なら、昭和世代にとってアナログレコードが懐かしく感じられるように、平成世代の皆さんにとっては、CDに対して同じような愛着を抱く人々が必ず出てくると思うからだ。

 

 

ダウンロードやサブスクリプションで聴く音楽には、パッケージそのものが無い。しかし、CDにはコンパクトではあるがCDジャケットがあるし、ソフトによってはミニ写真集が付いている場合もある。これが、空気と同じ音楽データとの最大の違いである。従って、CDはコレクションとして保管しておいても損はないだろう。

 

その時代の録音機材に合わせた再生装置が最高

これはわたしの持論であるが、その時代時代に記録された当時のオーディオ装置で同じ時代の音源を聴くことが最高のリスニング体験をもたらすということだ。つまり、SP時代の音源であれば同時代の蓄音機で聴くのがベストであり、LP時代であればアナログのレコードプレーヤー、CD時代であればCDプレーヤーで聴くのがベストであるということ。

 

レコーディングエンジニアは、同時代の装置でサウンドチェックしながら音源を録音していたわけで、それと同じ時代の機材で聴くのが理にかなっているのである。これは、SP時代の音源をいかに最新のハイエンドオーディオで聴いても良い音にならないということ、また実際に当時の蓄音機でSP盤を聴いたときの素晴らしさを体験したことのある人なら分かってもらえるに違いない。

 

今回は、「いま何故、アナログレコードなのか!?」というテーマで、少々真面目に文章を書いてみた(笑)。個人的には、仕事場のスタジオで聴いていたスピーカー、ダイヤトーン2S-305とマッキントッシュのセパレートアンプ、デンオンの業務用レコードプレーヤーにDL-103 MCカートリッジの音が最高だったと今でも思っている。現在は、スペースの関係でBBCモニターのLS 3/5aを中心とした機材を使っているがとくに不満は感じていない。

 

皆さんも、自分の好きな音楽やオーディオ装置と新たな気持で向き合って、幸せな時間を過ごしてみてはいかがだろうか?

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