ヴィンテージのアーチトップギター KAY N-11
ヴィンテージギターの値段が高騰している‼
現在、ヴィンテージギターは、円安の煽りで高騰している。とくに顕著なのがMartinやGibsonなどの由緒正しきヴィンテージ。1930年代のGibson L-00を例にとると、2015年頃なら38万円くらいで買えたものが、現在では85万円程度まで値が上がっているのだ。8年間で実に倍以上も価値が上がっていることになる。
これは、アコースティックギターのヴィンテージ市場の一例だが、人気の高いエレキギターでは、さらにこの傾向は顕著である。わたしのバンド仲間に、プロのギタリストを目指していた同級生がいる。彼は、格闘技の興行師を親に持つ家系だったが、音楽業界にも強力なコネクションがあった。
当時ティーンエイジャーだった彼に、プロギタリストの関係者からプレゼントされたのが、Gibsonレスポールの1958年製、チェリーサンバーストだった。その当時の価値で280万円くらいだったと思う。現在なら、2,000万円は下らないまでに高騰しているのは周知の事実だ。
以上は、極端な例ではあるがヴィンテージギターの相場というのは、“金”並みに熱いのである。Gibson、Martin、Fenderなどのヴィンテージに限って言えば、ここ10年でほぼ倍に等しい上昇率を誇っているのだ。ちなみに、わたしは2006年〜2015年に渡ってGibsonのアコースティックギターにハマっていた時期があり、なかでもコレクションの中心はL-4などのアーチトップだった。
入手した順に上げると、L-00(1999)、L-48(1950’s)、L-4(fホール1946)、L-7(1939)、L-4(Rホール1933)、L-47(1941)、J-45(1968)、L-1(2002)、L-50(1950’s)、L-4(Oホール1917)、L-00(1930’s)、L-1(1929)、L-1(1931)、Jonny Smith(1970’s)、Martin D-28(1983)、Martin OOO-28EC(1998)といった具合だ。この他にも、Gibson ES-165HE(2003)などのフルアコも所有していた。
これらのギターについては、当時運営していたWEBサイトで見ることができる。
1950~60年代に生産されたKAY N-11というギター
さて、前置きが長くなったが、今回このブログで取り上げるのは、Gibsonアーチトップと同時代に生産されていたKAYのN-11というギターについてだ。Gibsonの姉妹ブランドであるKalamazooやRecording Kingには以前から興味があったが、KAYなどの亜種には食指が動かなかった。
しかし、今回ばかりは見方が変わった。まず、ショップの説明文に興味を惹かれた。
“トップはスプルース合板、指板とブリッジはローズウッドが有力です。ギブソンのL-50と比べると少し小ぶりなサイズで手軽にお楽しみいただけるアーチトップです”
L-50と比べると少し小ぶりなサイズというフレーズに気持ちが動いたのだ。
かつて、L-47というアーチトップを所有していた。サイズ的にはL-00と同じで、異なるのはアーチトップでfホールという点。ブリッジにはピエゾ(ピックアップ)が仕込まれていて、その配線は内部を通してジャック付きエンドピンへと繋がる改造がされていた。アンプに繋いでも大きな音は出ないが、生音とのミックス具合がとても心地の良いギターだった。
部屋で弾いたりレコーディングには良い効果をもたらすのだが、一度ライブに使ったところ他の楽器の音に打ち消されてまったく音が聞こえなかったことがトラウマになって、結局最後は手放してしまったのだった。しかし、サイズが小ぶりなアーチトップギターというのは生産数がとても少なく、もう一度買いたくても価格が高騰している現状では、二の足を踏まざるを得ない日々が続いていた。
そんな時に目に入ったのが、今回のKAY N-11だった。電話予約をしたうえで取り扱っていたヴィンテージギター専門店を訪ねてみると、HOLD中のギターが一緒に展示されていた。Gibson L-1(1928-1929)、J-45(1955)、そしてこのギターの3本だ。L-1とJ-45というとっておきのヴィンテージと並んでいるKAY N-11はとても凛々しく見えた。実際の価値より、二枚も三枚も上のステージに上って頑張っている。
店長にチューニングしていただいてる間に店内のギターを見物させてもらうと、もうそこは“ヴィンテージギター博物館”の様相である。博物館なら展示品に触れることすらできないが、ここはショップなので声をかければどんなギターでも試奏することができる。そんなところが中古楽器店巡りの醍醐味である。さて、肝心のKAYのギターはどうだろうか?
ヴィンテージ アーチトップ特有のジャリジャリ感がたまらない!
ギターを弾いてみての感想は、とにかく鳴りが大きいということ。Gibson L-48系の音なのだが、本家よりも音量がある“激鳴り”ピックギターと言っていいだろう。ギターというのは不思議なもので、手に持った瞬間に良いギターかどうか分かることがある。ネックを持つと伝わる“木の重さや、脇に抱えた時に感じる堅牢さ”で、ある程度判断できてしまうのだ。
KAY N-11は、軽さこそはないが堅牢さは充分だ。トップはスプルースでサイド、バックにはトラ杢があるが、これは塗装を吹き付けてメイプルを装っているにしか過ぎず、材質は不明だ。指板とブリッジはローズウッド(ハカランダ)だろう。フレットは交換されていてビビリはない。一番の特徴は、ネックの細さだ。1968年頃のJ-45と同じくらいに細いが、フレット交換されているせいか弾きやすくセッティングされている。
楽器店で試奏を開始してから数分後には、これは“買い”だと脳が判断していた。友人が試奏中の動画を録ってくれたので後でその様子を見てみたが、納得しながら弾いているのが自分でもわかった。店まで自転車で来ていると告げると、ギグケース用のショルダーベルトをサービスしてくれた。ヴィンテージのアコースティックギターや、中古楽器店巡りにまたハマってしまいそうである(笑)。
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