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かつて所有していた、Gibson L-1のレプリカが4倍に‼

愛用していたGibson L-1(2002)とValley Arts L-1(1995)

この2本のL-1は、共にカスタムショップが生産したレプリカのL-1である。左がGibsonのCustom Shopが製造したL-1で、レン・ファーガソンが在籍していた頃の1本。右は、Gibsonのカスタムモデルを製造していたValley Artsが製造した1本だ。Valley Artsのほうが7年古い製造で、1995年製ということは、ロバート・ジョンソンのシグネイチャーモデルが発売されるよりも前に製造されたものだ。

 

Valley Artsのギターに付いていた、ロバート・ジョンソン関係者と、カスタムショップ責任者のサイン入り証明書。

 

まだ入手しやすかった2009年頃にオークションで購入

左のGibsonカスタムショップ製のL-1は、オークションで10万円。右のValley Artsカスタムショップ製は6万円程度で入手したものだ。Gibsonのほうは、レン・ファーガソンがいた時代に製造されただけあって、鈴の音のように繊細な音を奏でる銘品に仕上がっており、GarageBandで一人多重録音する際に多用していたギターだ。

 

Valley Artsのほうは、歯科技工士のコレクターの方から譲っていただいた貴重品で、9V電池稼働のFISHMANピエゾ(ピックアップ)が内蔵されていたこともあり、ライブで活躍してくれた1本。共に、自分にとっては思い出深いギターで、この2本との出会いがきっかけとなり究極の1929年製のL-1(Mr.ロバート・ジョンソン)へと至ったのだから感慨もひとしおだ。

 

 

 

L-1に関して調べものをしていたところ、わたしが所有していたValley ArtsのL-1がネットショップで売られているのを偶然発見した。価格はなんと・・248,000円!?である。わたしが入手した価格の4倍にまで値が上がっているのにはさすがに驚いたが、このギターは英語版のウィキペディアに“謎のL-1”として取り上げられるほど話題となった個体なのである。

 

クリスティーズに出品された、ロバート・ジョンソンが使っていたとされる1920年代後半のGibson L-1。17億円で落札。購入者はエリック・クラプトンだったと噂される一品。
Gibson L-1の英語版Wikiに掲載されていた、Valley ArtsのL-1(筆者所有 当時)。上記のL-1と一緒にウィキペディアコモンズに写真が格納されている。

 

Valley ArtsのL-1は、濃いサンバーストに塗装されているが、これはロバート・ジョンソンがギターを抱えているモノクロの写真を参考にカラーリングしたものと思われる。本物の1920年代のL-1は、サンバーストではなくステインシェイデッド仕上げである。ステイン(顔料)をタンポで叩いて染められており、高級家具の仕上げに使われるシュラックでコーティングされている。

 

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この塗装方法は、1926年〜1930年頃のフラットトップのL-1に使われていた技法で、Gibsonの歴史上でも珍しい仕上げだ。1930年代の後継器であるL-00になると、塗料によるサンバースト仕上げに変わるからだ。ちなみに、最初期のL-1はアーチトップのラウンドホールであるが、こちらは薄い顔料を混ぜたシュラックを塗り重ねて仕上げられている。

 

1940年代になると、スプレーガン塗装の上にニトロセルロースラッカーでコーティングするのがGibsonの標準仕様となっていく。その技法は現在までずっと引き継がれている。一方で国産などの廉価なギターには、往々にしてウレタンコーティングが使われることが多い。ウレタンは耐久性に優れる反面、塗装膜が厚くなってしまうため弦楽器の命と言ってもいい豊かな共鳴を引きだすのが難しくなる。

クラシックギターやフラメンコギターで培われた塗装法

では、アコースティックギターにとってベストな塗装とは何なのだろうか? もっとも参考になるのはギターとしての歴史が長いクラシックギターのルシアーたちの製作法から学ぶことだ。わたしの手元には、「メイキング・マスター・ギター」という一冊の本がある。2003年に初版が発行されたギター製作のバイブルである。

 

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クラシックギターの名匠、マエストロと呼ばれるルシアーたちに共通するのは、ギター製作の最後の工程で塗装を施さなくてはならないところだ。マエストロの中には、塗装を専門の職人に依頼しているルシアーもいるが、塗装の段階で自分の作ったギターの音色が変わってしまうのを嫌って、最後までこだわって塗装も自分で仕上げるルシアーも存在する。

 

彼等が使用する塗料は、シュラックニス、ラッカーが主だったところだ。これらの塗料は、フレンチ・ポリッシュ(シュラックをタンポ塗りで塗る伝統的な技法)か、ヴァーニッシング(ラッカーを刷毛で塗る技法)、スプレーガン(ラッカーをスプレーで塗る技法)のいずれかで塗装されるが、音質面への影響が最も少ないとされるのがフレンチ・ポリッシュ仕上げである。

 

L-1に関しては、1910〜1925年頃のアーチトップがナチュラル系のフレンチ・ポリッシュ仕上げ、1926〜1930年頃のフラットトップがステインシェイデッド仕上げとなっているが、この塗装法には大きな違いはない。てるてる坊主のように丸めたタンポ(綿)にシュラックを染み込ませて、円を描くように薄く塗り重ねていくのだ。

アーチトップのL-1とフラットトップのL-1では、これが同じ名前のギターか?と思えるくらいにサウンドの傾向は異なる。アーチトップのL-1は残響感の感じられる奥深い響きで上品さがあるのに対し、フラットトップのL-1は、まるでじゃじゃ馬のようにワイルドで反応が良く音圧があるのだ。個人的な好みで言えば圧倒的にフラットトップのほうを取る。アーチトップならむしろfホールにしてもらったほうが個性的だし、ラウンドホールのL-1なら同時代のオーバルホールのL-4のほうが、すべての面において上質だからだ。

 

ヴィンテージのL-1(1926-1929)となると、滅多には出まわらないギターなので購入の選択肢に入らないケースが多いだろう。もし、わたしが比較的入手しやすい復刻品からL-1を選ぶなら、2001-2002年頃にGibson カスタムショップで生産されていたSpecial Aged 1920’s L-1 Customか、2018年頃に生産されていたアーチトップのfホールタイプのL-1を選ぶだろう。

 

fホールのL-1は歴史的には初めて登場したGibson唯一のモデルだが、楽器店で試奏してみたときの印象はとても良かった。この2本が手元にあれば、高いヴィンテージに手を出さなくても満足するかもしれない。当ホームページで取り扱っているL-1がもしも売れてしまったら、即座にこの2本を購入しに走るに違いない。レン・ファーガソン在籍時のL-1と、アーチトップfホールのL-1は自分にとってはそんなギターだ。

 

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