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19世紀ギターを模した ARIA A19C-200S

渋谷の楽器屋さんで見つけた掘出し物ギター‼

その日、ワタシはギタースタンドを買いに渋谷の楽器店を訪れた。2023年の9月下旬に差しかかろうとするころだ。目当てのギタースタンドは980円で売っていたので、それを一つ買うついでにアコースティック・ギターが並ぶ部屋に入ってみると、変わったギターが目に入った。

 

 

所謂パーラーギター(パーラーとは小規模な人々の集まりのこと)の部類に入るのだが、その歴史は古く、19世紀に作られたギターの多くは同様の形状を持っている。かのC.F.Martinも、米国に渡る前はウィーンのギター製作家ヨハン・シュタウファーに師事して、19世紀ギターを製作していたそうだ。

 

19世紀ギターは、一般的なクラシックギターよりさらに小型で、ボディシェイプがサウンドホールに向けて大きくえぐれているのが特徴。その形状はスマートな女性のボディラインに似ていて、普通のギターとの違いはあきらかだ。このギターには、サウンドホール廻りとトップに豪華なインレイが施されていて、さらにブリッジが口ひげのような形をしていてとてもユニークだ。

 

 

楽器店では、ボディサイドに打痕、トップに10cmほどの割れがあるため格安で販売しているとのこと。その見た目に一目惚れしてしまったワタシは、躊躇することなくこのギターを試奏させてもらった。その第一印象は、ボディがコンパクトで体に馴染んで弾きやすいが、響きがやや硬質で鳴りも豊かではないというものだった。

 

マーティンやギブソンに囲まれている試奏コーナーでは、それらのヴィンテージに目がいってしまって、こういうギターにとっては分が悪い。結局その日は、このギターは買わずにギタースタンドだけ買って帰ったのだった。

 

それから一週間が経って、10月中旬に都内でライブ出演する場所がパーラーギターにピッタリ!という理由を付けて、もう一度このギターを見に行ったのだった。店内を見渡してみると、前回あった場所にはギターが見あたらない…。“ああ、やっぱり売れちゃったか…”と呟きながら帰ろうとすると、ひっそりと目立たない場所に置かれているこのギターを見つけたのだ。

 

 

スタッフと話し込んでいる店員さんに声をかけると、このギターをチューニングして持って来てくれた。ギターを手渡す際に、格安で出している理由を丁寧に説明してくれる。先にも書いたが、ウィークポイントはトップの割れ(内部にまで達しているかは不明)とサイドの打痕だ。打痕の延長線上にトップ割れがあるということは、ギターハンガーから落下して付いてしまった傷の可能性が高い。

 

通常、一般家庭ではギターハンガーはあまり使われない。壁面への取り付けが難しいからだ。だとすると、楽器屋さんで誤ってギターが落ちてしまった可能性もゼロではないだろう。いずれにせよ、コレクション用ではなく実用として購入するのであれば、こうした傷はまったく気にする必要はない。2度目に試奏した感想も前回と変わらなかったが、今回は買う気で行っているので、悩むことはなかった。

 

ギターを持って帰る途中、ワタシはいつも行く居酒屋に寄ってみた。ミュージシャンが経営する居酒屋なのでギター好きも結構いる。ギターケースを抱えているのを見て、さっそく見せてほしいと言われて取り出すと、このギターにたちまち注目が集まった。やはり、形が変わっているのが興味を引くようだ。目の前で演奏されるギターの音色を聴いたとき、それまでの印象とは異なる響きであることに気がついた。

 

パーラーギターが実力を発揮するのは、どんな空間か⁉

その居酒屋は、3坪ほどの広さしかない空間だ。なにせ狭いので、隣り合わせた客とすぐに友だちになれるのが一番の魅力である。目の前でギターを弾いてくれたのは、今の仕事に就く前に10年ほどお世話になった会社の社長で、現在では飲み仲間・ギター仲間としてのお付き合いが続いている。

 

その空間で響いてくるギターの音色だが、さっき楽器屋で弾いていたときとはまったく音が違っている…。なぜ、こうも変わって聞こえるのか? はじめはギターを弾く人と、その前で聞く人との位置関係が原因なのだと思ったのだがそれは違っていた。自分もそこで弾いてみたが、あきらかにさっきの楽器屋で弾いたときよりも鳴りが良いのだ。洗練された品の良さがあり響きも悪くない。

 

 

あらためてパーラーギターについて調べると、パーラーとは先にも触れた通り、小さな空間に人々が集う場所のことを指す。つまり、コンサートホールのような広い会場ではなく、小さな居酒屋やジュークジョイント(アメリカ南部の黒人向け音楽酒場)のような空間で演奏するのに適したサウンドだから、その名前が付いているのだと合点がいったのだ。

 

10月中旬にライブを行う店も、まさにこれと符合する。そうとは知らずに出会ったギターだが、今回のギター選択は間違っていなかったのだ。気を良くしたワタシは、さっそくそのライブのために曲を作った。ライブを行う店は、ワタシが小中学校時代を過ごした下町の三ノ輪にある。昭和の時代に少年期を過ごした想いを表現したその曲には「光のスタジアム」というタイトルを付けた。このギターで弾き語るのが今から楽しみだ。

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