Akasaka Base|オリジナルのオーディオ製品とアメリカ雑貨 アカサカベースでは、オリジナルの高品質なサウンドグッズ(スピーカー、アンプ等)、 トーマ・キャンベルがデザインした世界に例のないアイデアを活かしたメディアアートをはじめ、 大人の秘密基地にふさわしいアメリカ雑貨やコレクターズグッズなどをセレクトして販売しています。

オリジナル小説「秘密の八重歯」第五章 – 14

世紀の完全犯罪に隠されていた極秘工作 いつの日か、少年Sと約束した話をノエルは思い出していた。大きなヤマを越えて、すこし大人になったら、海岸沿いの家に住んでバーでも始めるよ・・そんな話だったと思う。もし、そのときは、アメ車に乗って遊びに行く約束をしたのだが、そんな夢もSの死で叶わなくなってしまった。   ...

オリジナル小説「秘密の八重歯」第四章 – 5

脅迫文とテレタイプの奇妙な符合 1968年6月に起こった横須賀線爆破事件は、日本の警察だけではなく、アメリカ大使館をはじめ在日米軍にとっても無視できないものだった。なかでも、この犯行を全学連などの過激派によるものと見ていたCIAでは、日米安保条約に反対するデモから在日米軍を巻き込んだテロへと活動が発展することを最も危...

オリジナル小説「秘密の八重歯」第四章 – 2

突然起こった列車爆発事件 ノエルと少年S、センパイOがクルマから多摩農協を視察したのと同じ1968年6月16日、世間を騒がせる事件が起きていた。横須賀線電車爆破事件である。横須賀線の上り列車、横須賀発東京行きが大船駅手前に差しかかったとき、前から6両目の網棚に置かれていた荷物が突然爆発したのだ。この爆発で32歳の男性...

オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 13

学生運動が盛んな時代に練られた計画 この年、1968年は日本だけでなく、世界的にも動乱が相次ぐ年だった。プラハの春、キング牧師暗殺、5月革命、そして日本では1月の佐世保エンタープライズ寄港阻止運動にはじまって、3月に起きた東大紛争でそのうねりはピークに達していた。   ベトナム戦争に反対する世界中の若者...

オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 11

羊の皮を剥かれた、直列6気筒SOHC ノエルが喫茶店メンフィスに戻ってみると、ちょうどセンパイOが雑誌のボーイズライフを読んでいるところだった。それに気がついたノエルは、Oに向かってこう言った。   「すみません、それ、オレの雑誌なんですよ」 「おお、そうだったのか、わりいわりい」   ...

オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 7

大切に保管されていた一欠片の隕石 キヨとノエルは、国分寺駅北口にあるY氏の歯科医院の前でタクシーを降りた。はじめてキヨがこの場所を訪れてから12年の年月が経つが、住宅が増えてはいるものの大きな変化はない。キヨとノエルは、歯科医院の門扉を開けて敷地内に入ると、玄関の呼び鈴を鳴らして院内へと入った。待合室には患者が2名座...

オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 6

はじめて経験した歯の痛み ある日、少年Sと一緒にヴィレッジの売店で買ったホットドックを囓っているとき、ノエルは左上顎の歯に違和感を感じた。ソーセージを噛んでいるとき、今までに感じたことのない、上顎全体に響くような痛みが伝わったのだ。そのことをSに話すと、彼はこう言った。   [caption id=...

オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 5

立川基地拡張計画の影で起こった日米間の摩擦 リチャード家が立川のアメリカンヴィレッジに住みはじめてから2年後の1957年7月、立川基地の滑走路拡張に向けて、特別調達庁東京調達局が周辺を強制測量をした際、基地拡張に反対するデモ隊の一部が、アメリカ軍基地の立ち入り禁止の境界柵を壊し、基地内に数メートル立ち入ったとして、デ...

オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 4

ノエルの冒険 立川での新たな出会い キヨの実家では、姉夫婦の赤ん坊が10月に誕生した。山田家にとって念願の男の子である。義兄は結婚を機に務めていた会社を辞め、4月から実家の印刷会社の取締役に就任し、経営から家督までのノウハウを少しずつ伝授されていた。近い将来、父に代わって4代目の社長に就任するのは間違いない。姉夫婦に...

オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 3

立川基地にあったアメリカでの生活 キヨとリチャード、そしてノエルの3人は、立川基地(Camp Fincam)のアメリカンヴィレッジで揃って暮らすようになった。リチャードは、立川基地の滑走路を拡張して大型のジェット機が離発着できる軍事ターミナルの建設責任者として、その仕事に精を出していた。   [ca...

オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 2

山田家の跡取りをめぐるもう一つの芽 リチャードは、ノエルと久しぶりに会うことが出来て喜んだが、その日の帰り道に、ゆくゆくは息子を立川のアメリカンヴィレッジへと連れ帰りたいとキヨに話した。   キヨは、山田家がノエルを養子にしたことはリチャードには隠していた。もしそれを彼が知ったら、きっと怒り狂って養育権...

オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 1

第三章 立川基地での新生活と、愛息子との再会 キヨとリチャードは、4年間住んだワシントン郊外のアーリントンの自宅を引き払い、東京の立川基地にあるアメリカンヴィレッジへと引っ越しを済ませた。結婚から7年が過ぎた1954年10月のことで、キヨは32歳、リチャードは44歳になっていた。   二人とも立川基地...

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