アカサカベースの廃盤アワー 第3話
ダリダとアラン・ドロン「あまい囁き」
1933年にエジプトのカイロで生まれたイタリア人歌手のダリダと、言わずとしれたフランス人俳優、アラン・ドロンがデュエットした「あまい囁き」をA面1曲目に収めたダリダのソロ・アルバムがこれだ。1973年にキングレコードから発売され、とくにシングル盤は日本でもヒットを記録している。
日本で人気の絶頂だったアラン・ドロン
1973年といえば、アラン・ドロンの人気が絶頂だった時期。雑誌「ロードショー」の読者人気投票では、常に1位を独走。ちなみに、2位はスティーブ・マックィーンで、熱狂的なマックィーンファンだったわたしは、その結果にいつも歯がゆい思いをしたものだった。1974年になると「燃えよドラゴン」の大ヒットで、ブルース・リーに1位の座を譲ってからは、封切り映画が当たらなくなり、日本でのアラン・ドロン人気は翳りを見せるようになったが、逆に欧米での評価は上がっていくという、数奇な俳優人生を彼は歩んでいる。
アラン・ドロンが耳元で語りかける“あまい囁き”
このアルバムでアランの声が聴けるのは、表題曲の「あまい囁き」のみで、アラン・ドロンが目的でLPを買った人には、拍子抜けの感も否めないが、その他の曲も粒ぞろいで、ダリダの歌手としての実力やその美貌にはじめて触れた人にも十分魅力的だったに違いない。かくいうわたしも、このレコードではじめてダリダを知ったのだが、力みのない歌唱と上質なポップスがつまったその内容に、46年という時を越えて魅せられてしまった。
ドロンの囁きに呼応してダリダが歌うメロディ
重厚なストリングスのあとで囁かれるドロンの肉声に続いて、控えめに歌われる主旋律を聴いて、どこかで聴いたことがあるメロディだと気づいた。そう、寺尾 聰の大ヒットアルバム「リフレクションズ」に収められ、前年の1980年にシングルカットされた「シャドー・シティ」がそれだ。
この曲といえば、アルバムが発売される前に、F1レーサーのニキ・ラウダが出演するヨコハマタイヤのCMで流れていたのを鮮烈に覚えている。続いて同じシリーズCMで採用された「出航(SASURAI)」と合わせてティザー効果をもたらし、シングル「ルビーの指輪」とLP「リフレクションズ」の記録的なセールスへとつながったのは偶然ではないだろう。
寺尾氏本人が意識していたかは不明だが、もし無意識だったとしても頭のどこかに「あまい囁き」のメロディが残っていたのは間違いないと思うのだが、いかがだろうか?
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