ロックのポスターデザインを考察する -その2
ヴィジュアル表現が多様化する1970年代以降
1970年代の中頃になると、サイケデリックブームも徐々に終息するようになり、ポスターデザインには多種多様な表現が見られるようになる。一括にはしずらいが、サイケデリックの余韻を引きずるようなポスターからまずは紹介する。
フランク・ザッパ率いるザ・マザーズ・オブ・インヴェンションらが出演した告知ポスター(左 1970年)には、派手さは無いもののサイケデリック以降の新しいロックの出現を匂わせるようなデザインだ。荒いドットで表された女性の顔は思わせぶりで謎めいており、昔の写真のようにも見える。その下に手書きで書かれた出演者の文字。エクスタシーの瞬間を表したドラッグのパッケージのようである。
そして、ジェスロ・タルが出演したコンサートのポスター(右 1970年)。彼等のアルバム「スタンド・アップ」のデザインを基調としながらも、バラバラのフォントを組み合わせることで、対のバンドであるボブ・シーガー・システムの存在もフューチャーする技巧が冴える。
新旧フィルモアが新時代の幕開けを告げる
1970年にサンフランシスコのフィルモア・オーディトリアムで行われたロックコンサートのタイトルは「NEW OLD FILLMORE」と題された。出演は、イギー・ポップ率いるストゥージズ、フレーミン・グルーヴィース、アリス・クーパーなど。ガレージロックやグラムロックという潮流を生んだ彼等によるステージは、新旧フィルモアと呼ぶに相応しいイベントとなった。後のパンク・ニューウェイヴの先駆者たちだ。
アルバムカバーを超えたコンサートポスター
ボス・スキャッグスが1975年にオークランドで行った際のポスター(左)は、前年に発表されたアルバム「スローダンサー」のアルバムカバー(右)の流れを汲むデザインが採用されている。コンサートポスターとしてはかなり凝った写真が使われており、アルバムカバー以上にイメージを沸き立たせるアートワークとなっている点が特筆に値する。
ロシア・アヴァンギャルドとハードロック
1970年代をリードしたロックバンドといえば、レッド・ツェッペリン抜きには語れないだろう。このポスターは、アルバム「プレゼンス」発表から1年後の1977年にオークランドで行われた時のもの。赤い巨大な球体から顔を出した黒い飛行船がスタジアムにサーチライトを照らす様子が描かれているが、ロシア・アヴァンギャルドを意図的にモチーフにしたデザインであることは一目瞭然である。
アメリカでもっとも長く続いたブルースフェスティバル
このポスターは、1982年に第10回目を迎えた「サンフランシスコ・ブルース・フェスティバル」の告知ポスターである。この後、同イベントはプロデューサーのトム・マゾリーニによって、2007年まで続けられたが、経済的な理由で惜しくも第34回をもって終了している。
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