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シティポップブームがもたらしたアナログ格差とは⁉ その2

和モノ レコード価格 高騰番付

前回は、シティポップが流行っていった過程とアーティストの中古レコード市場で起こっているデジタル格差ならぬ“アナログ格差”について述べたが、今回は具体的にどのアーティストのレコードが高騰しているかについて独自に番付を行ってみようと思う。これらは音楽の優位性ではなく、あくまで中古レコードの市場価格による番付なのでその点は誤解なきようにお願いしたい。

 

横綱

山下達郎(シュガー・ベイブ)

細野晴臣(はっぴいえんど)

 

堂々の横綱に輝いたのは、普遍的な魅力を保ち続ける山下達郎と、近年海外からの評価が上がったことでカリスマ的な人気を誇るようになった細野晴臣の2名。彼等の特徴は、かつて在籍したバンドにまでその評価が波及していることだ。

 

山下達郎については、シュガー・ベイブ時代のアルバムも含めて非常に人気が高く、とくに初期作品であるRCA時代のアルバムが軒並み高騰している。サブスクリプションでの音楽配信を許可していないことも、レコードが高騰する一因になっていると思われる。ちなみに、2023年5月から新たにリマスターされたRCA時代のアナログ盤が4,400円〜5,500円で限定発売される予定だ。これらのアルバムが再発されることで、市場価格にどう影響するかが注目される。

 

細野晴臣に関しては、YMO以前に在籍した、はっぴいえんどのアルバム人気が高い。最近では、それ以前のバンドであるエイプリルフールや、それ以降に在籍したティン・パン・アレーのアルバムなども軒並み高騰している。また、細野自身のソロアルバムはもちろんのことだが、ティン・パン・アレーが演奏や編曲を担当した他の歌手のアルバムまでが高騰するという異常な盛り上がりを見せているのが特筆される。

 

大関

大瀧詠一(ナイアガラ周辺)

竹内まりや

  

大瀧詠一も人気が衰えないアーティストの一人だ。ソロアーティストとしては寡作であったことも値段が高い原因であると思われる。また、本人がレコーディングエンジニアでもあったために、同じレコードをリマスターするなどしたヴァージョン違いのアルバムが存在する。熱心なファンが数多くいて同じレコードを複数所有するケースも多く見受けられるのが特徴だ。

 

竹内まりやは、アイドルタレントからアーティストへと転身したシンガーソングライターで、アレンジャーとして音楽活動を支えてきた山下達郎と結婚後、1984年に全曲自作曲のアルバム「VARIETY」を発売。この中の収録曲「PLASTIC LOVE」が33年後の2017年にYouTubeにアップロードされるが、この動画が海外でも反響を集め、翌年の2018年には動画再生回数が2400万回以上という驚異的な伸びを見せる。これがシティポップブームが起こる発端にもなった。中古レコード市場では、こうした経緯によってアルバム「VARIETY」、シングル「PLASTIC LOVE」の価格が高騰する他、他の作品の市場価値も高まっている。

 

関脇

大貫妙子

松原みき

 

大貫妙子は、元シュガー・ベイブのシンガーソングライターで、古くから音楽通の間では評価の高かったアーティストの一人。とりわけ、2017年にテレビ東京の番組「Youは何しに日本へ?」で、アメリカ人男性が大貫妙子のアルバム「サンシャワー」を探し求めている姿が放送されてから、再評価の機運が高まり「サンシャワー」の市場価格は高騰していく。それに呼応して他の作品も徐々に人気が高まっている。

 

松原みきは、1979年に「真夜中のドア〜Stay With Me」でデビューしたシンガーで、2004年には44歳のの若さで惜しくもこの世を去ってしまったアーティスト。2020年10月にYouTuberのRainychが「真夜中のドア〜Stay With Me」のカバー曲を発表したことをきっかけに、同年12月には「真夜中のドア~Stay With Me」がSpotifyグローバルバイラルチャート18日連続世界1位を記録するなどの過熱ぶりを見せた。このリバイバルをきっかけに、中古レコードの価格も徐々に高騰していった。

 

関脇

鈴木 茂

高中正義

 

鈴木 茂は、日本のシティポップの礎を作ったと評価される、はっぴいえんどの元メンバーで、ギタリストとしても多くの名演を生んできたミュージシャンである。はっぴいえんどの再評価が高まるなかで、初リーダー作である1975年の「BAND WAGON」を発売。その後も7、8枚のリーダー作を発売しているが、そのどれもが高い音楽性を持った作品となっている。中古レコード市場では、「BAND WAGON」の人気が際立っているが、シティポップを紹介した書籍などで「LAGOON」など他のアルバムも紹介されることが増えて徐々に人気が高まっている。

 

高中正義は、言わずと知れた日本を代表するギタリスト兼作曲家である。1980年代前半に起こったフュージョンブームで人気のピークを迎えたが、ブームが去ったあとも地道に音楽活動を続けてきたミュージシャンである。近年、初期のキティ・レコード時代の曲で編集されたベストアルバム「ALL OF ME」が海外のリスナーから再評価されたことがきっかけで、初期の「SEYCHELLES」「AN INSATIABLE HIGH」「BRASILIAN SKIES」などのアルバム価格が高騰してきている。

 

小結

坂本龍一

高橋幸宏

 

坂本龍一と高橋幸宏は元YMOのメンバーで、奇しくも2023年の前半に相次いで惜しまれながら他界してしまったミュージシャンである。すこし前から再評価が高まっていた細野晴臣に対して、中古レコード市場では比較的安定していたが、2人が他界してから数週間の間に値上がりが顕著となり、坂本龍一のサイン入りレコード「戦場のメリークリスマス」に至っては、オークションサイトで47万円の値をつけるなどの過熱ぶりを示している。

 

シティポップ以外の番外編

シティポップ以外のレコードでも価格が高騰しているアーティスト、歌手がいる。和モノとして日本で発売された外国籍の歌手から往年のスター歌手などのレコードだ。この他にも、お色気路線のジャケットを売りにしたセクシー歌謡系、近年人気の上がっている和ジャズにも価格が高騰しているレコードが存在するが、今回は昭和歌謡のなかから3人の歌手をピックアップしてみたい。

 

昭和歌謡系

テレサ・テン

テレサ・テンのレコードは、シティポップブームとは異なる文脈でレコード価格が高騰してきたようだ。台湾出身のテレサ・テンには、中国・台湾などにも多くのファンがいて祖国では国民的歌手として崇められている。昭和に日本で発売されたレコードは軒並み人気となっており、日本を訪れた観光客が中古レコードを買って帰ったり、ネットオークションを通じて流通することで価格が高騰している。1枚数万円の値が付いているのも頻繁に見かけるような状態だ。

 

ちあきなおみ

ちあきなおみのレコードでは、1978年に発売された「あまぐも」の人気が高い。ジャケット写真は、あきらかにビル・エバンスの「ワルツ・フォー・デビー」を真似たものだが、作家陣に河島英五と友川かずきの二人を迎えて制作されている。伴奏を担当したのはゴダイゴで、編曲はミッキー吉野が行っていることも、サウンド面で新たな境地を切り開いたといえるだろう。

 

雪村いづみ

雪村いづみのレコードでは、キャラメル・ママ(後のティン・パン・アレー)が編曲と伴奏を担当した服部良一の名曲を取り上げた1974年のアルバム「スーパー・ジェネレイション」の人気が高い。往年の歌謡スターと新進気鋭のミュージシャン(細野晴臣、松任谷正隆、鈴木茂、林立夫)との共演が名演を生んだ一例である。

 

いしだあゆみ

いしだあゆみのアルバムも、雪村いづみと同様にティン・パン・アレーが編曲と伴奏を担当した「アワー・コネクション」の人気が突出している。このアルバムに関しては、「裏シティポップ街道を行く」の第1回で触れているので合わせて読んでもらえればと思う。

 

かつては100円で売っていたものが、現在では40倍に

空前のブームといっても良いシティポップからは、また新たに往年のアーティストのアルバムがなにかのきっかけで高騰していくこともあるだろう。これは個人的な経験からの話だが、アナログレコードの人気が復活する前の2009年には、山下達郎の「ムーングロウ」が帯付きで100円で売られていることもあったのだ。現在の市場価格4,000円前後のことを思えば、隔世の感があるが、たかだか14年ほど前の話である。

 

今回は、独自に価格高騰番付を発表したが、ここにもれてしまっているアーティストやレコードもたくさんあることだろう。そのすべてを網羅することはできないので、おおまかな傾向ということで参考にしてもらえれば幸いである。次回は、高騰とは逆に中古市場ではお買い得にGETできるアーティストたちを紹介しようと思う。乞うご期待!

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