ムーディーレコードの誘惑 第2話
ティナ・ルイーズ「イッツ・タイム・フォー・ティナ」
ティナ・ルイーズは、1958年にデビューしたアメリカ人女優で、1960年代中頃にテレビ放送された無人島コメディ「ギリガン君SOS」でのジンジャー・グラント役で名を馳せた人。その彼女が、女優デビュー前の1957年に発売したのが、この「イッツ・タイム・フォー・ティナ」である。
当時のハリウッドでは、永遠のセックスシンボルと謳われるマリリン・モンローがトップスターとして君臨しており、モンローは何枚かのレコードも録音している。音楽的には、当時の流行だったジャズヴォーカルを基調としたものだった。おそらくティナ・ルイーズも、このモンロー路線を踏襲したプロデュースによってレコード制作がされたのだろう。
伴奏は、バディ・ウィード&ヒズ・オーケストラが担っており、流麗なテナーサックスのソロはコールマン・ホーキンスらによるものだ。このアルバムは、ジャズファンの間では隠れた名盤として知られる一枚で、ムーディーレコードの真打と言ってももいい、ジャケ良し、中身良しの二重丸レコードなのである。
一見すると、1970年代に流行ったムード音楽にも通じるジャケットだが、レコードに針を落としてみれば、すぐに本物であることが分かる。全編がバラードを主体とした構成は、甘美なティナの歌と極上のオーケストラ伴奏に包まれた、弥が上にも気分が盛り上がるムーディーなアルバムとなっている。
ティナ・ルイーズは、ジャズシンガーとしての素養もいうことなしであり、おそらく相当なレッスンを積んでレコーディングに臨んだのだろう。技巧的には、時にビリー・ホリデイを彷彿とさせるビブラートもマスターしており、ジャズシンガーとして歩んだとしてもそれなりの人気を博したのではないだろうか。
ちなみに、このアルバムは昭和の大スター、石原裕次郎の愛聴盤だったことでも知られている。性別の差こそあれ、同じ役者で歌もこなせるタレントとして思うところもあったに違いない。この、役者兼歌手が吹き込んだ名盤は古今東西に存在しており、ムーディーレコードと呼べるような作品も数多い。
ところで、タイミングよくこの「イッツ・タイム・フォー・ティナ」は2023年5月末にアナログ盤がリイシューされるらしいので、まだ未チェックの方は、まずはYouTubeで中身をチェックしてみてはいかがだろうか。ムーディーレコード in ハリウッドの真打をどうぞご堪能あれ!
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