Gibson Special Aged 1920’s L-1 Custom(2021)
レン・ファーガソン監修のGibson Custom Shopが手掛けた1本
先日ブログで、もしヴィンテージのL-1が手元になければ入手したいギターとして取り上げた、2001年製の世界限定50本のL-1を、お茶ノ水のギタープラネットさんが取り扱っていることを知った。このギターは、過去に一度だけ弾いたことがある。Valley Arts L-1(1995)を譲っていただいた方と仲良くなって、家まで遊びに来てくれた時にこのギターを持ってきてくれたのだ。
その時に弾かせてもらった印象が未だに忘れられず、それから間もなく2002年製のCustome Shop製L-1を手に入れることができたのだった。
それは、スペシャルエイジド加工が施されていないモデルだったが、鈴の音のような美しさと鳴りの大きさが両立しているギターだった。
末永く愛用するつもりだったが、1931年製のヴィンテージL-1(L-00への移行過程に製造された、ボディ幅14.75インチのギター)と等価交換することになって巣立っていった。
これらのL-1についての記事は、かつてのブログで細かく紹介しているので、興味があったら読んでみてほしい。
本家GibsonのL-1復刻ギターの最高峰とは⁉
我が家にやって来た2002年製のL-1は、とても気に入ってすぐに愛用ギターとなった。しかし、自分としては Special Aged 1920s L-1 Customを弾かせてもらった時のインパクトには及ばない気がして、それ以来ずっと気になっていたのだった。しかし、今ならお茶ノ水へ行けばそのギターを試奏することができる…。そう思ったわたしは、長年の想いを晴らすべく、夏の終りのある日にお店を訪ねたのだった。
件のL-1を見つけたわたしは、副店長の城谷さんに声をかけて試奏を申し出た。チューニングを終えた彼は、ブルースの洒落た一節を弾いてからギターを渡してくれた。もう、その音を聴いた時点でわたしはこのギターに心を奪われてしまった。完全に一目惚れ、ならぬ“一耳(ひとみ)惚れ”である。約15年ぶりに弾いたSpecial Aged L-1はシーズニングを経てさらに良いギターに変貌を遂げていた。
選びぬかれた良材で作られた、世界限定50本のギター‼
今回、あらためて弾いてみて感じたのは、残響感、深遠な響き、鳴りの大きさなどで、あきらかに2002年製Custome Shop L-1を凌駕しているということだ。そもそも、当時の販売価格の差(1.5倍ほど)がそれを物語っていたとはいえ、その違いは明確だった。レン・ファーガソン自身が、完成したギターを1本1本チェックして篩いにかけ、最後に残った50本をSpecial Agedというステージに上げたのだ。
おそらく、そのステージに上がれなかったL-1を、翌年の2002年にCustome Shop製として発売したというのが真相なのではないだろうか。それが事実なら両器の音の差は然るべきなのである。同じ部材を使っていても音が違うのだからギターは奥が深い楽器である。これは、アコギだからわかりやすいが、エレキとなるとなかなかこうはいかない。かつて新品のテレキャスターを買う際に、店内在庫のテレキャスを5〜6本試してみたことがあったが、その違いはアコギに比べればごくわずかだ。
このギターを買って帰ったのはいうまでもない。高額品なので金利0円キャンペーン(48回払い)も気になったのだが今回は遠慮した。男のクレジット1回払いである。わたしはこの日、自転車で行ったのでそのことを告げると、ハードケース用の専用ストラップをサービスしてくれた。
わたしのギター購入と前後して、隣ではもうひとつの商談が進んでいた。ギターケースが運ばれてくるまでの間にその場所を覗いてみると、同世代の男性がなんと現金でギターを購入する現場に出くわした。男性は「カードで買うとバレちゃうからね」と言って笑っている。「いろいろ大変ですね」と声をかけると、購入したギターを見せてくれた。
そのギターは、Ovationのエレアコでトップがツヤツヤに光っている。どうやら、上からラッカー塗装した上にサンディングでピカピカに仕上げられた改造品のようだ。わたしの買ったギターには、ウェザークラックのようなヒビがボディ全体に広がっているだけではなく、ペグの一部が欠けていたり、ネック裏の塗装が剥げていたり、ヘッドの縁全体にクラックが入っていたりと、ここまでやるかと唸ってしまうようなエイジド加工が成されている。
その一方で、新品以上にツヤツヤな中古ギターを買い求める人もいる。同じギター好きにも趣味嗜好というのがあるのだと知った一日だった。
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