アカサカベースの廃盤アワー 第11話
ゲイリー・パケットとユニオン・ギャップ「ウーマン・ウーマン」
アメリカのロックバンド、ゲイリー・パケットとユニオン・ギャップが1967年に発売したファーストアルバムが、この「ウーマン・ウーマン」である。1965年に結成されたユニオン・ギャップは、ゲイリー・パケットが率いる5人組のバンドで、パケットが少年時代を過ごしたワシントン州の町の名前からとられたもの。シアトルからクルマで3時間ほどの場所にある小さな町である。
南北戦争時代のミリタリールックは、日本のGSにも影響を与えた!?
デビュー曲の「ウーマン・ウーマン」に続いて「ヤング・ガール」がゴールドディスクを獲得したユニオン・ギャップはアメリカでは一躍人気バンドとなったが、日本での人気は今ひとつで、当時はビートルズが大作「サージェント・ペパーズ」を発売して話題を呼び、他にはプロコル・ハルムの 「青い影」などのニューロックがヒットするなど、サイケデリックなロックサウンドが注目を浴びた年であった。
髪型や服装からはモンキーズの影響を強く感じさせるが、このジャケットではユニオン・ギャップのメンバーがそれぞれ兵隊に扮しており、ミリタリー・ルックが鮮烈な印象を与えている。このファッションは、1970年代に入ってスパイダースやタイガースなどのGSグループが取り入れたことから、音楽よりもファッションで日本の音楽界に影響を与えたであろうことは、大いに注目に値するのではないだろうか。
音楽的にも良質なポップチューンが続く好アルバム♬
日本ではヒットしなかったものの、ポップな曲が次々と続くこのデビューアルバムはなかなかの出来である。ゲイリー・パケットの甘い歌声と美しいストリングスやメンバーが吹く管楽器が随所に織り込まれたそのサウンドは、小難しいことをやらずに純粋なポップスを編むことに徹しており、非常に好感のもてるものだ。
曲によっては、ビージーズやムーディ・ブルースに通じるサウンドがあったかと思うと、B面の最後を飾る「お前が行ってから」では、トム・ジョーンズばりのソウルフルな歌を聴かせてくれるゲイリー・パケットは、いかにもアメリカ人好みの歌手である。ベトナム戦争が泥沼化し、ウッドストック・フェスティバルによって人間性回帰が叫ばれる前夜であるこの時代には、こうした軍隊への郷愁を表したポップスがヒットする風土がまだ残っていたのだろう。
そうした歴史的な背景を抜きにしても、爽やかな1960年代の風が感じられるこのアルバムは、ジャケットのファッションも含めて再注目しても良い作品である。ぜひ一度、聴いてみてほしい。
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