アカサカベースが選ぶ、秘蔵の名盤 第10話
Piccadilly Circus 「ピカデリーサーカス」
久々にアカサカベースが選ぶ「秘蔵の名盤」を紹介したいと思う。今回紹介するのは、1999年に発売された日本のバンド、ピカデリーサーカスの1st.アルバムだ。2007年に紙ジャケット仕様で未発表音源を追加して再発されたが、それ以来長らく廃盤となっている作品だ。ビートルズフォロワーを自認する杉真理、松尾清憲、上田雅利、伊豆田洋之、風祭東、橋本哲の6人によって結成されたこのバンドは、ビートルズ中期以降の音楽的エッセンスをふんだんに盛り込んだオリジナル曲を持ち味とし、この1st.アルバムはメンバー各々による力作がノンストップで続く珠玉の作品となっている。
1970年代の上質なポップロック的心地よさ
数々の名曲を国内アーティストに提供してきた、稀代のメロディメーカー杉真理と絶妙のコンビネーションをみせる松尾清憲の2名が中心となってはいるが、アルバム全体の印象にもっとも大きな華を与えているのは、ポール・マッカートニーの生まれ変わりのような張りのある美声を聴かせる伊豆田洋之の存在であることは間違いないだろう。また、全曲にわたってメンバーの美しいコーラスが冴えわたっており、ビートルズ中期以降のサウンドに加えて、10CC、ELO、クィーンといった1970年代の上質なポップ・ロックのアレンジ手法も随所に盛り込まれていて、何度聴いても飽きさせない。
ビートルズフォロワーによるパロディーアルバムは、ラットルズをはじめ世界中に何作か存在するが、一曲一曲の完成度の高さや演奏、コーラス、アレンジの巧みさ、そして何よりもメロディアスな曲が粒ぞろいであることなどを含めると、ピカデリーサーカスのこの一枚は、間違いなく最高峰であるのは間違いないだろう。いや、ビートルズフォロワーという括りも、この圧倒的な作品を前にすれば必要ないことのように思えてくる。ビートルズを知らない世代が聴いて、このサウンドが気に入ったなら改めてリバプールサウンドと対峙していけば良いのだ。
ピカデリーサーカスには、元チューリップの上田雅利(ds)もメンバーとして参加している。ビートルズ解散後の1970年代に「心の旅」や「サボテンの花」「青春の影」のヒットでニューミュージック時代を切り開いたバンドとして知られるチューリップだが、中期以降のビートルズサウンドが彼らの音楽性に非常に大きな影響を与えていたのはよく知られている事実だ。今回、ピカデリーサーカスを聴いていて、チューリップの初期のアルバムを懐かしく思い出す瞬間が何度かあったことも付け加えておく。
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