裏シティポップ街道を行く 〜シティポップの隠れ名盤〜 その4
鈴木 茂「SEI DO YA (星導夜)」
今回は、裏シティポップの名盤として、鈴木茂の「SEI DO YA(星導夜)」を紹介する。はっぴいえんどの周辺レコードは軒並み高騰してしまったが、このアルバムはジャケットが地味なこともあるのか、はっぴいえんど関連では埋もれた存在で、中古市場でも割と安価に買うことができる一枚。
鈴木茂のアルバムでは「BAND WAGON」の人気が異常に高く、シティポップ系でありがちな“一点豪華主義(特定の一枚だけが高騰する)作品”となっている。海外リスナーからの評価が高まると、逆輸入的に日本でも注目されて中古レコードの値が上がるというからくりのようだ。
このアルバムが発売されたのは1985年。前作「WHITE HEAT」から実に6年ぶりに発売された、通算8枚目となる作品だ。1985年といえば、安全地帯や杉山清貴&オメガトライブ、チェッカーズ、佐野元春などが流行っていたバブル前夜のころ。この作品は、そうした時代のエッセンスとは関係なく、あくまで個人的な音世界を追求する姿勢で作られており、鈴木のオリジナリティ溢れるセンスの良い編曲の才能が遺憾なく発揮された作品となっている。
ほとんどの曲で本人によるヴォーカルがフューチャーされているが、歌がメインとして主張してこない分、他の楽器と一体化した印象の(時にはインストゥルメンタルのような)曲が並んでおり、玄人好みのいぶし銀的な魅力を放っている。サウンド的な凝りようはかなりのもので、そこにセンスの良さがキラリと光るのは、音数を増やしすぎずに4〜5人のバンドサウンドに徹しているところだ。音の厚みを減らしてアンサンブルで聴かせる、はっぴいえんどゆずりの音作りがここにも生きているのだ。
このアルバム、現在は廃盤となっているようでCDでも聴くことはできない。もし、アナログ盤で見つけたら買っておいて損はない一枚である。
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