ジョン・トロペイ「TO TOUCH YOU AGAIN」

今回、クロスオーバーカフェで取り上げるのは、ジョン・トロペイが1979年に発売した「TO TOUCH YOU AGAIN」。トロペイの通算3枚目となるこのアルバムは、脇を固めるミュージシャンが豪華だ。当時、クロスオーバーはジャンルとして確立されていく過渡期であり、普段はスタジオミュージシャンとして知られる彼等が、リーダーアルバムを次々と発表したり、大物ミュージシャンのライブやレコーディングに呼ばれるようになったりと、ミュージックシーンにおける立ち位置がどんどん変わっていった時期でもあった。

参加ミュージシャンのパーソナルをざっと見ても、リチャード・ティー(key)、スティーヴ・ガッド(ds)、ウィル・リー(b)、スティーヴ・ジョーダン(ds)、リック・マロッタ(ds)、ドン・グロルニック(key)、マイケル・ブレッカー(ts)、デヴィッド・サンボーン(as)…等々と豪華絢爛だ。

音楽的には、R&Bの流れを多く含んだファンキーなサウンドがメインである。聴きようによっては、やや暑苦しくなるような曲が続くが、このアルバムの印象をとにかく爽快にしているのが4曲目の「You’re My Every Need」の存在だ。リチャード・ティーによる作曲のこの曲は、1980年代当時、FM放送のBGMとしてよく使われていたので、聞き覚えのある方も多いのではないだろうか。

リチャード・ティーのリズム感溢れるピアノに、どっしりとしたリズムを刻むスティーヴ・ガッドのドラムの渦の中を、ジョン・トロペイの切れ味のある音色のギターが縦横無尽に飛び交う様子は、聴いていてとても気持ちが良い。空いている高速道路をオートクルーズで走っているとき、あるいは青空の中を飛行機が安定して飛行しているときにピッタリのBGMなのだ。これから旅行へ行く予定があるなら、ぜひこの曲もBGMリストに加えてみてはいかがだろうか。