木製プランターを使ったホーン型スピーカー
ニトリで見つけた木製プランターをリメイク
ショッピングついでに店内を見て回っていたとき、ふと気になった商品があった。ホーンのようなかたちをした木製プランターである。ホーン型というのはオーディオマニアなら一度はあこがれる筐体だ。ALTECやJBLではおなじみのツイーター用ホーンが一般的である。
木工で立体物をつくってきた経験から言うと、このような形状をDIYで組み上げるのはけっこう難しい。四角い箱であれば2次元的思考で図面をおこせるが、このような形状の場合、3次元を念頭に置いて設計する必要があるからだ。3Dプリンターなどを使えば簡単かもしれないが、やはりスピーカーには天然木を使いたいものだ。
ユニットにはFoster C080P33Sを2個使用
スピーカーユニットには、FosterのC080P33Sを2個使ったオールインワン形式にすることにした。このユニットはすでに廃番となっているが非常に素性の良いモデルで、特に高域から中域まで非常にバランス良く鳴るのが特徴だ。エンクロージャーはバッフル(表面)以外は出来上がっているので、さっそくその図面を起こしてみた。
プランターは四方のすべてが斜め構造なので、バッフルも断面をテーパーにする必要がある。当初は密閉式を想定していたが、ホーンの特性を生かすならバックロード構造にしたいところだ。ただしオールインワンのため複雑な音道を作るのは不可能だ。左右の音はどうしても内部で混ざり合ってしまう。
ホーンの広がり感を生かすなら、バッフル上下にスリットを開けて音の通りを良くする方法がもっともシンプルだ。左右スリットにすると左右が反転(Lの音がR側から/Rの音がL側から)して放射される可能性があり、音像が定まらなくなる恐れがある。一方で、低域を確保するためにバスレフにすることも考えたが、こうするとせっかくのホーンの広がりを遮断してしまうことになりかねない。
あくまで思考実験ではあるが、これらのことを考慮して上下スリット式のもっともシンプルな設計を選ぶことにした。
プランター底部の穴を2cmの丸形チップで埋める
この作業はホームセンターに既存の木製チップ(2cmΦ)があったので、それを使って簡単に埋めることができた。ターミナルは2本がギリギリ収まりそうなので、余ったチップに穴を開けて上手く組めるかどうかできるか確認する予定。この部分は完成すればエンクロージャー背面になるところ。
ターミナルを、木製チップになんとかギリギリでビルトインすることができた。思いのほか、ピタリとフィットしていて、赤と黒のコントラストがなんとも可愛らしい。
バッフルを黒く塗装してスピーカーユニットを仮組み
バッフルの色は黒にすることに決めた。水性の黒スプレー(艶なし)で一気に塗装する。乾いたのを見計らってさっそくユニットを仮組みしてみた。Foster C080P33Sは白コーンに茶のエッジという渋い配色が特徴。こうして見ると、往年の銘機サンスイLE-8Tをイメージさせる外観になりそうだ。
配線をハンダ付けして完成! サウンドチェックはいかに?
ターミナルの取り付けが終わったので、ユニットとターミナルのハンダ付けを行った。これで、プランター改ホーンスピーカーは完成。バッフルの固定はサウンドチェック後に行うつもりだ。もし結果に満足できなかったら木を付ぎ足して密閉式にするか、バッフル裏に加工を施してバスレフ式にするかの2択になるだろう。
音出しした結果は、非常にアコースティックな音という印象。上下に0.75cmのスリットがあるので、ヌケがかなり良いようだ。試しにスリットを片方だけにすると音がすこし締まるのが分かった。更に布で開口部を塞いでみると効果てきめんで、一聴したかぎり満足のいく音になった。
初試聴のインプレッションとしては、元々の構想だった密閉式が一番という結果になった。一応、一晩エイジングしてからどうするか判断するつもりだ。
選択したのは、ワンサイド・スリット・ホーン
一晩のエイジングを終えて改めて音を聴いてみると、前日までの考えだった密閉式への改装を留まらせるに充分な音の変化が見られた。音漏れ防止のため内部に埋めたタイトボンドが固まったせいもあるのか、ホーンを伝う空気の流れがよりスムーズになったようだ。
試しに、上下両サイドに設けたスリットを上部だけにしてみると、コの字型に放射されていた空気の流れが上部に集中することで音がタイトになり、ホーンらしいヌケの良さも兼ね備えるというハイブリットサウンドが得られることがわかった。
また、いつでも改造できるようにバッフルは固定せず、ユニットの重みでバッフルごとズリ落ちないように加工(小さな木片をバッフル下部/左右に固着)を施した。これで、今回のプロジェクトは一応の終了を見ることに。木製プランターがもつ特異な形状を最大限に生かすには、先にも触れたように三次元的な設計が不可欠となりハードルが一段も二段も上がる。
かつて、三層の立体式アートフレームを制作したときの苦労が偲ばれる今回の工作であった。腕に自身のある方は、この難設計にチャレンジしてみてはいかがだろうか?
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