Go Hat レコードを聴いてみよう♪ その3
KGB「ソ連秘密警察 KGB」
中古レコード店でこのアルバムを見つけたときは、思わず手が止まった。帯には、“76年ロックシーンの動向を決する衝撃のデビュー盤!”とある。メンバーは、マイク・ブルームフィールド、カーマイン・アピス、リック・グリッチ、バリー・ゴールドバーグ、レイ・ケネディ…とくれば、中身も悪かろうはずがない。
レコードを買うためにレジに持っていくと、その脇に試聴用プレーヤーがあったので、店主に頼んで聴かせてもらった。OTTO、いやオッと…パイオニアのターンテーブルとは珍しい!
1曲目…イントロ(ドラムのフィルイン)からしてGood ! ほとんどソウル
2曲目…ファンキーグルーブから一転して、レイドバックしたスワンプ風
3曲目…やはり南部の香りの濃いイントロに続いて聞こえてきたのは…I’ve Got Feeling
もう、これで無条件で買う気持ちになった(笑)
スワンプ、ソウル、カントリー、レゲエが混ざった異種格闘技アルバム
レコードを通しで聴いてみると、全体的なトーンはスワンプ風味が色濃いが、一旦マイク・ブルームフィールドが歌い出すと、一気にソウルフルになりファンキーさが増す。バブルガムブラザーズの初期リーダーを務めた故・KAZ南沢(カズさん)に通じる歌声である。
B面の1曲目は…もう、いきなりレゲエである(笑)。
そして2曲目は、極上のスライドギターがカントリー色を醸したかと思うと、カーマイン・アピスのタイトなバスドラとハイハットが交錯するという、渋さ知らズの無法者的音世界。
3曲目は、いぶし銀の魅力を放つ真正面スワンプ。
4曲目は、ファンキーなクラビネットがやや控え目にバッキングし、フェイズシフトのかかったギターとの絶妙なグルーブ感が心地良い。
ラストを飾る5曲目は、ストリングスをバックに繰り広げられるフォークロック調のバラード。
もう、音楽ジャンルをごった煮にしたようなサウンドが次から次へと展開するが、聴き終えると何故か不思議に調和した余韻がしばらく残る。決して奇をてらったようなアルバムではないのだ。
国内版帯付きであることの意味とは?
では、“ご法度レコード”の要素はどこにあるのか? それは国内版の帯の副題「ソ連秘密警察 KGB」に集約されていると言っていいだろう。元々、MCAレコードの策略で結成・レコーディングされたとも囁かれるこのバンドは、凄腕ミュージシャンを集めて、とにかくセンセーションを巻き起こす狙いがあったのはあきらかだ。
そして、それに輪をかけて強烈にGo Hatなのが、ビクター音楽産業の洋楽宣伝チームだ。帯に限定されるとはいえ、“ソ連秘密警察 KGB”などと、よく名付けたものである。当時、アメリカとの冷戦真っ只中だったソ連共産党関係者からは、何のお咎めもなかったのだろうか?
ちなみに、この帯をとってしまうと、Go Hat度数はいっきに半減してしまう。狼が睨みを利かせているイラストにKGBのロゴが軍隊の腕章らしくデザインされていて、背景は戦争中の落下傘部隊の写真という表現は充分強烈ではあるが、“ソ連秘密警察 KGB”のコピーには負ける。これは、平和ボケしていた日本だからこそなし得た、レコード帯における“ご法度アルバム”の決定版と言っていいだろう。
従って、このレコードの価値は“国内版帯付き”であるか否かが、その価値を決める重要な要素になるに違いない。もしあなたが帯付きを持っているならば、大切に保存しておくことをオススメする。いつかはこのGo Hatな帯が珍重されて(笑)、高値を付ける日がやってくるかもしれないからだ。
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