Go Hat レコードを聴いてみよう♪ その4
マジカル・パワー・マコ「マジカル・パワー」
このアルバムが発売されたのは1974年。実に半世紀も前にリリースされたご法度レコードである。ピンク・フロイドの「狂気」が発売されたのが1973年3月。マコの「マジカル・パワー」は、実質的には同年に録音されていることを思えば、そのアプローチがいかに先鋭的だったかがわかる。
マコは、14歳の中学生時代からテープレコーダーを使って作曲をはじめたという早熟の音楽家だ。中学卒業後の1971年に東京へ上京して、渋谷ジャン・ジャンなどでライブ活動をはじめる。これらの活動が注目されて、翌年には早くもNHKドキュメンタリーの音楽を担当し、アンダーグラウンドシーンから一気にその名をテレビ・音楽業界に轟かせる。
弱冠16歳の天才少年として脚光を集めたマコは、いきなりポリドールからデビュー作となる本作を発表。その間にもNHK番組への出演、前衛音楽家の灰野敬二や武満徹とのコラボレーション、映画音楽作曲などの著しい活躍を果たす。
まず、ジャケットからしてGo Hadなデザインセンス
このジャケット、一度見たら忘れない大胆なデザインである。タスキが無ければ、一体何のレコードなのか見当もつかないユニークさで“Go Had度”100点満点だ(笑)。もし、新品同様のレコード盤をGetできたなら、レコード針を落とさずに購入したままの状態で保存したくなるアルバムである。
どうしても聴きたくなったらYoutube動画を再生するか、比較的入手しやすいCDで聴けばいい。ここに収められた音楽を端的に表すなら、テープコラージュを駆使したミュージック・コンクレート作品ということに尽きる。
前半は随所でピアノ、ギター、ヴォイスが交錯するが、その多くはラジオ音源や効果音などをコラージュした作品となっている。中半からは内的な世界をギターで弾き語る導入部から、一転してフリーキーなノイズへと昇華させるパンキーな一面をみせる。
続く曲ではジミー・ペイジ風のギターリフから始まって、演劇的なシャウトが被さったかと思うと、アナログ・シンセや擬音を重ねながら、同年代のジャーマン・ロック(CANやNEU)にも通じるリズムのシーケンスを繰り返しながら終わっていく。
続いて、静かなピアノのイントロに続いて、極めてポジティブな詞が子供たちの合唱で唄われる。
朝の窓を開ける
太陽が光る
今日の希望が
小鳥が鳴く
やがて、アシュラ・テンペルを思わせるギターリフが主旋律を引き継いでマッシュアップさせたかと思うと、一転して遊園地のBGMのようなオルガン音へと交錯させて異次元へと誘う。さらに、東洋的な太鼓と鐘の音をブリッジさせつつ、鉄道や赤ん坊の鳴き声をコラージュして不協和音をシーケンス。
最後は、弦楽器の逆回転を効果的にサンプリングしながら、ループする渦巻き音のゲートエコーで終わるという、実にカオスな内容だ。先に一度もレコード針を落とさずに保存したいなどと書いたばかりだが、最後に訂正したい。これは1974年に日本で生まれた類稀なプログレッシブ・ロックの名盤である。
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