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Gibson L-1(1929年)のリペアが完成‼

Gibson L-1 (1929) のトップ膨らみリペアが終了

先般のブログでも紹介した、Gibson L-1 (1929) のトップ膨らみリペアについての続報をしてみよう。長年にわたる弦の聴力でブリッジ部のトップ板が膨らんでしまっていたヴィンテージのL-1。このギターはすべてがオリジナルの状態を保っていて、ネックリセットなどの大きな修復履歴のない貴重な一本だ。かなり弾き込まれてはいるが、コレクターが私蔵してきたギターとは違って、弦の振動を伝える木部と内部空洞が一体となって成長してきたのがわかる鳴り方をする。

 

 

道具というのは不思議なもので、機械式の金属カメラでも同じことが言える。何十年も使われずにコレクションされてきたカメラは、内部メカニズムが硬直して動きがスムースにいかないものがある。木製のギターの場合は、弾かずに置いておくだけでは空気が内部循環しないため充分な乾燥が進まず、使われてきたギターがしなやかに共鳴するのと比べると、これが同じギターか?と首を傾げるくらいに鳴り方に差が出てきてしまうのだ。

 

 

コレクターのなかには、それでも良いという方もいるのだろうが、それでは本末転倒と言わざるを得ない。本来は、演奏されてはじめて価値が生じるのが楽器というものなのだ。このL-1は、写真を見てもらえばわかるようにかなり使い込まれてきた個体である。前オーナーがミュージシャンだったこともあるかもしれないが、このギターにはロバート・ジョンソンの魂が宿っているのでは?と思うくらいに激鳴りする一本だ。

 

約1ヵ月にわたる矯正でトップの膨らみを解消‼

前回の記事にも書いたとおり、このギターは使い込まれてきたのを示すかのように、弦の張力でブリッジまわりのトップ板が膨らんでしまっている状態だった。そのため、弦高がやや高めにセットアップされていて、ボトルネックでの演奏には適しているものの、通常の演奏には若干の弾きづらさを感じさせる状態であった。

 

そこで、このトップ膨らみをなるべくフラットな状態にするべくリペアを施したのだ。その内容については、前回の記事で詳しく紹介したので、興味のある方はコチラを読んでみてほしい。約1ヵ月間の矯正を経てL-1を作業台から取り外してみると、だいぶ膨らみが解消されているのを確認できた。ここまでリペアできていれば、さらにサドルを削ることで弦高は微調整することができるだろう。

 

 

弦をレギュラーチューニングで爪弾いてみたときの印象は⁉

すべてがオリジナル状態であることが売りだったこのL-1だが、今回のリペアによって音がどう変わるのかが気がかりだった。何故なら、変形してしまったトップ板の矯正のためブリッジの下に力木を1本加えたからだ。幸いにして、音の影響はほとんど感じられなかったのでホッとした。自分にとっては、充分に弦高が低くなったので、サドルは削らずにしばらくはこのまま使っていくつもりだ。

 

 

ロバート・ジョンソンの油絵がやって来た‼

L-1のリペアがちょうど終わるころ、我が工房にRJの油絵がやって来た。渋谷のロック喫茶「BYG」に30年間飾られていた絵なので、見たことがあるという人もいるかもしれない。この絵はウエオカケンタ氏の作品で、幡ヶ谷の『owl 2nd floor』というギャラリーバーで展示されていたものを購入させてもらったもの。

 

今にもRJが絵から飛び出してきそうな立体的な絵画で、わたしはグニャリと曲がったネックが気に入っている。有名なロバート・ジョンソンの写真に色を付けて、生き生きとした表情に描かれているのも印象的である。

 

 

Gibson L-1のヴィンテージとレプリカを弾き比べてみた❣

この絵を描いたアーティストのウエオカケンタ氏ご本人をアカサカベースに招いて対談を行った。

1929年製のオリジナルL-1と、2001年製のカスタムショップL-1の弾き比べシーンもあるので、興味のある方はぜひご覧いただきたい。

 

 

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