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昭和の銘スピーカー SP LE-8Tのレプリカを作る‼ -1

青春時代の憧れ あの銘機LE-8Tをミニチュアで再現⁉

1970年代前半にサンスイが発売したSP LE-8Tは、それまで高嶺の花だったJBLのスピーカーを手頃な価格で買えるようにと、サンスイがエンクロージャーを独自に設計して、ユニットにJBLの20cmフルレンジ LE-8Tを組み込んで発売したスピーカーだ。廉価とはいえ、サランネットに組格子を用いた豪華なデザインが採用されている。

 

ミニチュアを作る上で最もハードルが高いのが、このサランネットの再現だ。組子の家具を販売している専門店に頼めば、その制作費だけで5万円は軽く超えてしまうため、趣味の世界では中々手を出せないのが実情である。そんな中、わたし宛にある一通のメールが送られてきた。オークションサイトからのレコメンド通知だ。『貴重 組子スピーカーグリル2枚1組未使用』とある。普段は食指の動かない通知だが、今回は違った。これは何としてでも欲しい。

 

 

長年、構想してきたミニチュアが現実のものとなる‼

熊本から届いた組子の作品は、思っていた以上の出来である。職人による手作りの仕事だ。売り手の方は、どうやら家具製作の専門家らしい。丁寧な梱包からもそれは伝わってきた。組子の骨組みが手に入ったので、次はサランネット裏に打ち込む布を探さねばならない。わたしが向かったのは吉祥寺のユザワヤ。衣類を仕立てるハンドメーカーなら必ず訪れる問屋さんだ。

 

 

目をつけたのは、上記の代物だ。わたしはSP LE-8Tを実際に使っていたことがあるので、頭の中にイメージはある。店内には多くの素材が陳列されているが、中々目ぼしいものがない。店員さんに聞いてみると、スピーカー用ならと案内されたのが透過性のあるストッキング素材のコーナーだった。LE-8Tのサランネット写真を見せて「これに近い柄の素材は?」と聞いてみると、残念ながら「こういう柄は無いですね」という返事だった。

 

あきらめかけた先に見つけたのが、パッチワーク用に小さくカットされた素材コーナーだった。数100種類はゆうにある中からわたしが選んだのが上記の柄である。なんとか近い柄の布が見つかったので、次の工程は組子の塗装だ。SP LE-8Tの仕様書を読むと、ウォルナットのオイルステイン仕上げとある。オイルステインは扱いづらい塗料だ。乾くのに時間がかかる上に塗装のハードルも高い。

 

 

何度も重ね塗りをして塗り終えたのがこの写真だ。オイルステインは、木に染み込むまでに時間がかかる上にムラが生じやすい。均等に塗ったと思っても、乾くとどこかにムラが出てしまうため、完全に色を付けるには少なくとも3回以上の重ね塗りが必要になる。

 

オイルステインが乾燥しきるまでには、冬という季節もあって3日ほど要した。途中、ムラのある箇所を見つけては重ね塗りするという根気のいる作業である。作業を終えた感想としては、水性ステインを使えば良かったというのが正直なところだ。ステインで色を染めたあとは、ブライワックスなどで艶出しすれば良い(高級品なので費用はかさむが)。

 

組子の裏に布をタッカーで打ち込んでサランネットが完成‼

パッチワーク用の布はハンカチのように畳まれているので折シワが入っている。まずはアイロンがけしてシワを伸ばしてから作業に入る必要がある。アイロンがけが済んだらいよいよ組子への打ち込みだ。深さ6mmのホッチキスをタッカーで打ち込んでいく。このときに注意すべきは、布のほつれを防止するために四方を折り込むこと。本家のLE-8Tも裏布が経年変化でほつれてしまうのを知っていたのでこの作業は必須である。

 

 

サランネットが完成するまでにかかった日数は5日間。まとまった時間がなければ出来ない作業だろう。水性ステインを使っていれば、大幅な時間短縮が可能なので、この記事を参考に自作するなら塗料は水性を使うのをお勧めする。次はいよいよエンクロージャーの制作だ。メモ用紙に設計図を書いてDIYショップへ相談に行くことにしよう。

 

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