昭和の銘スピーカー SP LE-8Tのレプリカを作る‼ -4
ターミナルはバナナ対応のスクリュー式を選択
当初は、オリジナルの仕様に合わせてバネ式のターミナルを想定していたのだが、吸音材を買いにコイズミ無線まで行った際に、バナナプラグ対応のスクリュー式ターミナルが置いてあるのを見つけた。安価なバネ式ターミナルよりも高級感があるし、スクリュー式なので剥き出しケーブルにも対応できる。そんな訳で、このターミナルを買って帰った翌日に裏板への取り付けを行った。
バスレフ用にダクトを接着して吸音材を充填
バッフルには50mmΦのバスレフ用穴を開けてある。その穴に合わせて55mmΦの丸筒を80mmにカットして内部を黒く塗ったものをダクトとして使うことにした。バッフルとの接着にはタイトボンドを使用。FX120の説明書には、ご丁寧にも推奨エンクロージャーの図面が書かれているので、吸音材の容量やダクトのサイズはそれを参考にさせてもらった。
ターミナルとユニットを結線して、いよいよ裏板をはめ込む‼
バッフルと同じ縦305mm×横180mmにカットした裏板には、あらかじめ内部配線をターミナルにハンダ付けしておいた。ユニットのFX120は、将来的なエッジ交換を想定してバッフル表面から取り外せるようにファストン端子で接続するつもりだ。そのためファストン端子とケーブルもハンダ付けしてある。この仕様は正解だった。FX120の接続端子はマグネットに隠れるほど奥に付いているので、直接ケーブルとハンダ付けするのが困難だからだ。ファストン端子なら差し込むだけなので接続は容易だ。
さっそくアンプと繋いで音出しをしてみた。その結果はいかに⁉
裏板のはめ込みは、薄いスクレーパーを使って行った。ジャストサイズなので、外枠をスクレーパーで広げながらはめ込んでいく作業はバッフルのときと同じだ。裏板の場合は、サランネットを取り付けるためのマージンが必要無いので外枠にぴったりはまればそれで良い。
これでスピーカーは完成! 前から見た外観は、コンパクトなSP LE-8Tそのもの。LE-8Tよりもユニットの比率が若干大きいが、そこはご愛嬌ということでお許しいただきたい(笑)。完成したらすぐに音出し確認する必要がある。異常があればすぐ対処しなければならないからだ。
真空管+デジタルのハイブリットアンプから出てきた音は、誇張のない“素直な音”という印象。8cmフルレンジよりも中低域が強い分、メリハリ感は薄いがそれが返ってLE-8Tに近い印象を受ける。以前、国産フルレンジの銘機と謳われるパイオニアのPE-101を使っていたが、FX120のほうが高域は伸びている印象だ。ツイーターなどは足さずに、正統派LE-8Tのようにあくまで中域を楽しむスピーカーとして使うのが王道だろう。
秘蔵のサランネットを取り付けてみた。1/2サイズのSP LE-8T‼
今回のSP-LE-8Tレプリカは、このサランネット無くしては生まれなかった。一番はじめに書いたように組格子のサランネット制作が一番のハードルだったからだ。サンスイは、組子のサランネットを復刻した2ウェイのSP-K1というモデルを1993年に発売している。13cmウーファーに5cmツイーターという構成のスピーカーだが、サイズ的にはこのSP-K1とほぼ同寸に仕上がっているのではないだろうか。
エイジングで音がどんどん変わっていく不思議⁉
はじめて音出しをした際には、おとなしい印象だったFX120だが、やや大きめの音でエイジングしていると、わずか5時間で見違える(聴き違える)ほど音が良くなっているのを実感した。高域がきちんと出るようになって、中低域とのバランスも良くなっているのだ。
コーン紙にはバイオセルロース(超極細繊維)とケナフ(人工栽培木材)を混ぜたコーンにマイカを配合した表面材でコーティングされている。センタードームはアルミ合金製ラジエーターで出来ており、エイジングによって裏側からの制動が安定することで高域が伸びるようになったのかもしれない。エイジングで音が変わるという話にはやや懐疑的なわたしだが、このユニットに関してはあきらかに良い方向に音が変わっていくのを感じ取ることができた。
SP LE-8T 1/2サイズレプリカ仕様
形式:12cmフルレンジ バスレフ式
サイズ:縦30.5cm×横18cm×奥行15cm
スピーカーユニット:Fostex FX120(12cmフルレンジ)
エンクロージャー:ラワン合板、水性ウォルナット仕上げ
サランネット:米ヒバ、油性ウォルナット仕上げ
ターミナル:バナナプラグ対応スクリュー式
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