アカサカベースの廃盤アワー 第15話
平山みき「希望の旅」
アカサカベースの廃盤アワー第15話で紹介するのは、平山みきが1972年に発売したセカンドアルバム「希望の旅」。オリジナルアルバムではあるが、初期のヒット曲の多くが収録されているベストアルバム的な編集がなされている。とはいえ、全曲の作曲・編曲とプロデュースを筒美京平、作詞を橋本 淳が手掛けており、アルバム全体としてのまとまりも感じさせる作品となっている。
さて、あらためて聴いてみると、このレコードが昭和歌謡のなかでも、ひと際輝きを放つ傑作アルバムであることを痛感させられる。筒美京平と橋本 淳といえば、1969年に大ヒットした、いしだあゆみの「ブルーライト・ヨコハマ」を作ったコンビである。すでにヒットメーカーとして活躍中の二人が手掛けたのは、「真夏の出来事」がヒットして一躍人気歌手となった当時23歳の平山みき。彼女の特徴は、強烈に鼻のかかったハスキーボイスで、一度聴いたら忘れられないインパクトのあるものだ。
当時から、筒美京平の秘蔵っ子といわれた平山は、その強烈な歌声と色気のある容姿で唯一無二の存在感を発揮しており、筒美や橋本も相当な意気込みでこの作品づくりに励んでいるのが伝わってくる。
1曲目の「いつか何処かで」は、「希望の旅」のB面として発売された曲だが、バート・バカラックばりのアップテンポでグイグイ突き進むオーケストラ・アレンジがキラリと光る曲。1980年代のスウィング・アウト・シスターなどにも通じるオシャレ感が際立っている。
3曲目の「フレンズ」は、1972年にシングルカットされてスマッシュヒットを飛ばした曲。そして、続く4曲目の「心のとびらをノックして」は、平山みきの歌唱がぴったりハマったノリの良い“ザ・昭和歌謡”とでも言いたくなるような曲。
続く5曲目「愛よ永遠に」をはさんで、6曲目の大ヒット曲「真夏の出来事」へと続いていくA面の流れは、これでもかと言わんばかりにひたすらヒットチューンを紡いでいく圧巻の構成となっている。
B面は、パーカッションとブルージーなギターのイントロからはじまるブルース調の「20才の恋」で始まり、8曲目の「ふたたび愛を」では、A面から続いた疾走感からようやく一息つけるような落ち着いた曲調で、コロムビア・オールスターズの優雅な伴奏がフューチャーされる。
続く9曲目の「希望の旅」は、ややエキセントリックな筒美京平のアレンジと平山の歌唱が見事にハマった佳曲で、「いつか何処かで」とのカップリングでシングルA面として発表された曲。
10曲目「ビューティフル・ヨコハマ」は、1970年に発売された平山のデビュー曲。デビュー時はまだ21歳だった平山にしてはずいぶん背伸びした歌詞だが、独特の歌唱力でなんなくカバーするあたりはさすがである。
11曲目「愛の讃歌」では、前曲とは打って変わって愛の尊さを歌い、アルバムの最後を締めくくる12曲目の「ノアの箱舟」では、人生の悟りを切り開いたかのような詞を、明るめの曲調のなかでさりげなく表現している。
現在、残念ながらこのアルバムは廃盤となっているが、運良く中古レコードで見つけたなら買っておいて損はないアルバムだ。アルバム1曲目の「いつか何処かで」の動画があったので、まずはこの曲を聴きながら、1972年当時の空気を味わってみてはいかがだろうか。
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