アカサカベースが選ぶ、秘蔵の名盤 第14話
マーク – アーモンド「アザー・ピープルズ・ルーム」
アカサカベースが選ぶ、秘蔵の名盤で今回紹介するのは、1970年代にジョン・マークとジョニー・アーモンドの2人のユニットで活動していた、マーク – アーモンドの傑作「アザー・ピープルズ・ルーム」。このアルバムが発売されたのは1978年のことで、前年に「アントニオの歌」をヒットさせたマイケル・フランクスのアルバム「スリーピング・ジプシー」と同じ、トミー・リピューマによるプロデュース作品である。
わたしは、1978年当時にリアルタイムでマーク – アーモンドのアルバムを聴いていた。愛聴盤だったのは、このアルバムとビリー・ジョエルの名曲「ニューヨーク・ステート・オブ・マインド」が収録された「トゥ・ザ・ハート」の2枚だ。ライトメロウという表現が、これほど当てはまるアーティストは他にいないのではないか…そう思えるほどに、あまりに美しく完成された音楽が淡々と繰り広げられるのが彼等の魅力である。
ギタリスト兼シンガーのジョン・マークと、サックスにフルートを操るマルチミュージシャンのジョニー・アーモンドの2人は、共にジョン・メイオールのバンドにいた盟友。アメリカンフォーク色の強いシンガーソングライターのジョン・マークと、ジャズフィーリング溢れる演奏を持ち味としたジョニー・アーモンドの2人の音楽性が見事に融合して生まれるのが、マーク – アーモンドの音楽世界である。
それにトミー・リピューマの素晴らしいセンス、見事なオーケストラアレンジを施したクラウス・オガーマン、そしてバックを務めたスティーブ・ガッド(ds)、ウィル・リー(b)、ジョン・トロペイ(g)、ラルフ・マクドナルド(per)、レオン・ペンダーヴィス(Key)らが繰り広げる音世界は、超一級品の芸術と出会ったときと同じ感動を呼び起こすほどの素晴らしさである。
カバーワークは、まるでヒッチコックの傑作映画「裏窓」のワンシーンと見紛うような、大都会ニューヨークのアパートの一室。そこに、下着姿の白人女性がコーヒーポットを持っている後ろ姿が表面を飾っている。
裏を返すと、部屋を覗かれているのに気づいた女性が驚いて振り向いている姿が写し出されており、所謂“組み写真”となっているのだが、まるで映画のワンシーンを捉えているかのような仕掛けがニクイ。このアルバムカバーのアートコンセプトには、ジョン・マークが絡んでおり、他に2人のデザイナー、フォトグラファー、コーディネーターと協力して制作するという凝りようである。
ジョン・マークの歌声は、低くてやさしい独特の味があるのだが、それを弥が上にも引き立てているのがジョニー・アーモンドの吹奏楽器であり、前出の一流ミュージシャンたちの演奏である。まるで室内楽を編むように各楽器の音がそれぞれのパートを埋めていく構成力は、トミー・リピューマの手腕によるところが大きいだろう。
同じトミー・リピューマのプロデュースによるジョージ・ベンソンの「ブリージン」、マイケル・フランクスの「スリーピング・ジプシー」と並び称されるのが、この「アザー・ピープルズ・ルーム」で、この3作品はリピューマによる3部作と言ってもよいライトメロウの傑作中の傑作だ。
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