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オリジナル小説「秘密の八重歯」第三章 – 8

自分の特殊な能力に気づいた少年

ノエルの虫歯治療の件は、当然のことながらリチャードの耳にも入っていた。ただし、歯の詰め物に隕石が使われたことを彼は知らない。この件を話してしまうのは、CIAの守秘義務にも抵触するうえ、その在り処を執拗にGHQが追っていたことを思えば、誰にも話さないほうが身のためであることはキヨが一番良く知っていることである。その秘密はキヨとY氏の2人しか知りえないのだ。

 

八重歯は、戦後の日本では歌手や女優のトレードマークとしても可愛がられ、チャームポイントにまでなっていくが、リチャードの国では、その見た目が吸血鬼の歯(Dracula Teeth)を連想させることから嫌われ続けてきた。アメリカでは歯の矯正を行うことは裕福さの象徴であり、ワイヤーの矯正器具を付けていても奇異の目で見られることもない。

 

しかし、ノエルの八重歯は矯正が必要なほどには育っておらず、リチャードもそのことについてとりたてて触れようともしなかった。そうしたこともあり、彼の八重歯に埋められた隕石の欠片は、本人も忘れてしまうくらいにその体の一部となって溶け込んでいったのである。

 

ノエルが、はじめて自分の特殊な能力に気がついたのは、アメリカンスクールのGrade 7(中学1年生)になる13歳のときだった。授業の合間に友だちとテーブル・ターニングをしていたとき、アルファベット文字の記されたウィジャボードを、自分の意のままに動かすことができるのを自覚したのがきっかけだった。

 

 

やがて、ノエルの能力は次々に拡張していき、その対象はウィジャボードを離れて、クォーターコイン、ペン、ダイキャストカーへと広がり、一般的なオートマティスム(筋肉性自動作用)の領域を超えて、次第には友だちの意思や行動までコントロールできるようになっていった。一種の催眠術のようだが、ノエルの能力はそうした呪術的なものではなく、同世代の対象者と接するうち無意識に備わっていくものだった。

 

こうした特殊な能力をもつ自分は、特別な存在であり誰もが持ちうる力ではないと気がついたノエルだったが、それについて悩んだりスピリチュアルな方向へと傾くことはなかった。幼児期をアメリカのミシガン州で育てられ、親元を離れて幼稚園時代を日本で過ごしてきた彼は、混血児である自分が普通の子とは異なることを自覚しながら生きてきた。空軍佐官の父と米国務省で働く母ではあったが、ノエルには伸び伸びと育ってほしいという両親の思いもあって、結果的にはそれが彼のメンタリティーを形成することにつながったのかもしれない。

 

そんなノエルだったが、自分の不思議な力を八重歯に埋め込まれた隕石の欠片が及ぼしているとは、まったく考えもしなかった。その欠片は、摂取された栄養を特殊なエネルギーへと変換する役割を担っており、体の一部としてなくてはならない代謝の要として完全に同化していたのだ。

 

校庭で運動している同級生に向かって心のなかで「振り向け」と念じると、同時に数人がノエルのほうを振り向くこともあった。しかし、こうした能力はすべての人に通用するのではなく、ノエルと仲の良い同世代の少年にしか発揮できないのだった。それは、フットボールなどの団体競技で相手チームと戦うとき、同じチームの誰かをコントロールすることで得点に結びつけるといったことには特に向いていた。

 

コントロールされる側は無意識の状態であるが、ノエルとは信頼関係で結ばれていることが必要である。双子の兄弟同士が言葉を交わさなくとも意思が通じ合っているのと似ているが、ノエルは常に司令する側であり、コントロールされた相手は無意識のうちに行動をとっているという関係がこのマニピュレートのセオリーだった。

 

アメリカ空軍やCIAという巨大な組織の司令を忠実に守って従事している父母とは裏腹に、親しい友だちを自分の化身のように操る力が、秘密の八重歯によってノエルにもたらされたのである。

 

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