裏シティポップ街道を行く 〜シティポップの隠れ名盤〜 その13
ハミングキッチン「はみんぐキッチン」
裏シティポップ街道を行くの第13回で紹介するのは、2004年にインディーズレーベルのモノフォニカレコードから発売されたハミングキッチンのデビューアルバム。デビュー当時は“ハルモニア”名義だったが、デビュー後にハミングキッチンへと改名されている。共に名付け親はプロデューサーのトーマ・キャンベル。
アルバム制作の発端になったのは、アサヒビール黒生のWEBドラマ「アフター9ストーリー」用にオリジナルの楽曲を新規レコーディングしたこと。かつて1970〜1990年代には、レコード会社とCMやドラマ制作会社がタイアップしてアーティストの楽曲を録音することが行われていたが、同じ手法をWEBサイトで行ったのがこの作品である。
WEBサイトではアルバム収録曲の「ブルームーン」「東京ラブレター」の英語版が使われていた(アルバム未発表)。また、メンバーの二人が共に神奈川県出身だったこともあり、FMヨコハマでは「ブルームーン」「順風由比ヶ浜」「東京ラブレター」が頻繁にオンエアされ、インディーズの通販サイトでポップス売上No.1を獲得するなど、大きな注目を集めている。レコーディングはすべて一発録りで行われ、ボーカルと二胡、効果音のみアフターレコーディングされている。
ハミングキッチンは、この後シングルとしてリリースした「夕焼けステイション」が細野晴臣に認められ、細野が音楽監督を務めた小泉今日子主演の映画「グーグーだって猫である」のオープニングソングとして使われ、後の3枚目のアルバムとなる「ストレンジトマト」は細野のdaisyworld discs(日本コロムビア)から発売された。
メンバーの眞中やすとイシイモモコの共作5曲をはじめ、ライブでよく演奏されていた各々のオリジナル曲5曲で構成されたこのファーストアルバムは、佐藤真吾(Key)、Ray Kondo(B)、田中鹿一(Ds)のサポートメンバーを加え、他ゲストを加えたバンド編成で録音されている。ハミングキッチンはイシイモモコ(Vo)と眞中やす(G)というギター1本に歌という編成でライブを行っていたが、徐々に知られるようになってからは、元ティン・パン・アレーの林立夫(Ds)をゲストに迎えるなど活動の幅を広げるようになり、こうしたことが後に細野晴臣に見いだされるきっかけになった。
このアルバムでは3曲目の「順風由比ヶ浜」と「スパゲッティミートソースのような午後」がギターにヴォーカルのみという本来のハミングキッチンの演奏スタイルでの収録である。活動期間が5年と短いこともあり、アルバムとしては二人のデュオ演奏のみの作品は残されていないが、カバー曲を含めたデュオ演奏が特色だっただけにライブアルバムを残してほしかったと思う今日このごろである。
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